東アジア諸国における農業環境政策の現状と課題

タイトル 東アジア諸国における農業環境政策の現状と課題
担当機関 国際政策部
研究期間 1999~2001
研究担当者
発行年度 2001
背景・ねらい 本研究は,(1)日本,韓国,中国における農業環境政策の動向を法律,統計資料及び聴き取り調査等に基づく分析によって相互比較し,(2)当該政策に内在する問題点及び今後の政策課題を解明し,加えて,(3)農業環境政策の進展に伴って流入増加が予想される韓中両国産有機食品等が我が国の有機食品市場に及ぼす影響について検討することを目的とする。
11年度は日本の消費者を対象に行ったCVMアンケート調査に基づき,国民的合意が得られるであろう「直接支払のための予算限度額」の推計を行い,12年度は韓国の主要な法律・制度の翻訳を行うとともに,中国の資料を収集・整理し,13年度は韓国農林部長官経験者2名,大統領府農林水産主席経験者1名へのインタビューを行い,これらの基礎資料に基づき,韓国,中国はじめ周辺諸国から流入するであろう有機食品等が我が国の有機食品市場に及ぼす影響について検討した。
成果の内容・特徴
  1.  中国は,緑色食品(有機栽培:AA級,低農薬栽培:A級,それらの加工食品)を外貨獲得の有望産品と位置づけ,1990年5月15日にその生産振興を宣言し,92年11月に「緑色食品発展センター」(北京:農業部の管轄),94年10月に「有機食品発展センター」(南京:環境保護局の管轄)を設立。98年末現在,日本の畑総面積に匹敵する約226万haを緑色食品栽培に転換している。生産量は約840万トンで,その1%程度を輸出している。資料がやや古いが,96年の緑色食品総輸出額850万ドルのうち,日本への輸出額は約500万ドル(約60%)を占めている。他方,1日当たり農業労働賃金は日本の12分の1以下であり,それを反映して有機農産物の国内価格も極めて低く,我が国にとって中国産有機食品は大きな脅威になることが予想される。
  2.  韓国では2001年1月に環境農業育成法を改正して「親環境農業育成法」と改称し,同年7月1日より4つの表示(有機,転換期有機,無農薬,低農薬)に対して「親環境農産物認証マーク」の貼付を義務づけると共に,99年度より環境規制地域を対象にした直接支払,2001年度より水田農業(全国)に対する直接支払をそれぞれ実施している。韓国の場合は中国,オーストラリア,ニュージーランド,アメリカのような輸出指向型の有機農業ではないが,韓国内に流入する中国産緑色食品に対する経営自衛策として,活路を日本の有機食品市場に求めざるを得ない状況に陥る懸念がある。
  3.  顔の見える産直など一部を除き,我が国の有機農業等には市場競争力がない。何らかの政策的支援が求められているが,CVMアンケート調査に基づき,国民的合意が得られるであろう「直接支払のための予算限度額」の推計を行ったところ,「(1)国民の半数が合意する多数決ルールに従えば約2300億円,(2)国民の圧倒的多数(80%)が合意するという厳しい条件を課した場合は約470億円。何れにしても,農業関係予算配分を見直して数百億円から数千億円規模の予算を有機農業支援に充てたとしても,消費者・国民は農水省の行政姿勢を支持するだろう(国民的合意が得られるだろう)」という結果が得られた。
第1図:日本の有機食品市場をめぐる周辺諸国の政策動向(今後の見通し)
合意された支払意志額の比較
図表1 228505-1.jpg
図表2 228505-2.jpg
カテゴリ 有機農業 有機栽培 病害虫 有機農産物 加工 経営管理 水田 農薬 輸出

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