タイトル |
傾斜畑における全層破砕処理の土壌保全効果 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
傾斜畑における振動式破砕機による全層破砕処理は土壌侵食抑制、収量性向上に効果があり、作業方向は作業機の操作性の面から等高線作業よりも傾斜下り作業の方が優れている。
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背景・ねらい |
傾斜畑においては、耕起、整地を行う機関及び播種・定植後作物が土壌表面を覆うまでの期間は土壌侵食が起こりやすい。そこで、排水性向上に有効な振動式全層破砕機による全層破砕処理を傾斜畑において適用し、降雨の地下浸透を促進し、表面流出水を減らすことで土壌流亡の軽減を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 振動式全層破砕機(K社製SVS-30-B50S、図1)は、トラクタ(20.6kW、4輪駆動)に装着し、2本のカーブドシャンクと中央のチゼル付ストレートシャンクにより、深さ30〜50cm、幅140cmの土層を全面全層的に破砕する。
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土壌物理性:全層破砕を行うことにより、耕盤層(深さ15〜20cm)の土壌硬度の低下、空気率の増大が図られ、その効果は破砕後一作経過しても持続している。また、降雨後の土壌表面付近(深さ10cm)の排水性及び降雨時の表面流出水・土量の抑制効果も向上し、排水性では傾斜下り区、流出水・土量抑制では等高線区が優れている表1。
- 収量性:播種は、全層破砕後有心畝立状の播種床を形成する浅耕ロータリ播種機により行う。全層破砕を行うことによりスイートコーン、ダイコンの収量は向上する表2。
- 作業性:圃場の平均傾斜10度、土壌硬度1.07Mpa(10.9kgf/cm^2、深さ20〜40cm)の条件において、傾斜下り作業は、走行速度0.20m/sですべり率13%であり、等高線作業並みの作業能率で作業可能である。等高線作業は、前輪を傾斜上方へ操舵し、かつ振動式全層破砕機に負荷がかかるたびに等高線走行を維持するため左右に大きくハンドルを切る必要があることから、作業機の操作性では傾斜下り作業が優れている表3。
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成果の活用面・留意点 |
- 傾斜上り作業はすべりが大きく、作業機に負荷がかかるたびにトラクタ前輪の浮き上がりが生じるので、傾斜5度以下の緩傾斜の場合を除き安全性の面で行うべきではない。
- 10度以下の傾斜圃場では圃場形状に合わせ作業方向を選択する。傾斜方向が長い場合は傾斜下り作業、等高線方向が長い場合は施回が少なくてすむことから等高線作業というような選択を行うとよい。
- 傾斜10度を超える場合は傾斜下り作業で行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
馬
栽培技術
だいこん
排水性
播種
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