タイトル |
四国山間地域におけるシイタケ生産の意義と定着条件 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1994~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
シイタケ生産による山林の活用は農家人口扶養力の格差形成要因の1つである。国際化の中でシイタケ生産は減少しているが、販売規模の相対的に大きな農家層ほど定着性が高い。担い手の高齢化が進む中で作業道整備等による軽作業化・省力化、及び販売戦略の向上がシイタケ生産定着の重要な条件である。
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背景・ねらい |
耕地条件が劣悪な四国山間地域においては、耕種部門だけでなくこれに山林を活用したシイタケ生産等を組み合わせた農林複合経営の展開を図ることが、今後の人口扶養力の維持を考える上において重要な方策の1つである。そこで、統計解析及び高知県山間地域におけるシイタケ生産農家調査を通じてシイタケ生産の意義及びその定着条件について検討を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 四国山間地域を対象とした主成分分析、重回帰分析により、農家人口扶養力格差の要因を抽出した(表1)。これにより、四国山間地域においては、広葉樹林を活用したシイタケ生産や栗生産及び耕地条件、農外労働市場条件が農家人口扶養力の格差形成要因であることが明らかとなった。
- 上記分析で抽出された山林活用の典型的市町村である高知県T村内のK集落及びJ集落においては、国際化に伴うシイタケ輸入の増大の影響からシイタケ生産の農業経営に占める比重は低下する一方、園芸作が急増している。しかし、依然としてシイタケ生産は園芸作との組み合わせによって農林複合経営の中で基幹作物あるいは補完作物として重要な位置を占めている(図1)。
- シイタケ販売規模別に見ると、販売規模の大きな農家層ほどシイタケ販売額割合は高く、相対的に高価格を実現している(表2)。このことは経営の中におけるシイタケ生産の比重が大きな農家層ほど高品質生産を行っていることを示すものである。また、これらの農家層ほど将来のシイタケ生産継続意向及び高品質生産の意向が強い。したがって、シイタケ生産の比重が大きな農家層ほどシイタケ生産の定着可能性が高いと言える。
- 今後、一層の国際化の中でこれらのシイタケ生産継続意向農家の定着を実現するための条件は、第1に、担い手の高齢化、ほだ場の作業条件の劣悪性などに対応しつつ、軽作業化・省力化を目指した作業道等の生産基盤の整備である(図2)。第2に、販売価格の低迷傾向の中で、現在、第3セクターを中心として「四万十の天日干しシイタケ」などのブランド化や新規販売ルートの開拓などの動きが見られるが、このような販売戦略のさらなる強化が重要な条件である(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
今後、市町村で農業振興方策を策定する際に参考となる。また、今後、県や国が中山間地域の活性化方策を立てる際の参考となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
しいたけ
省力化
中山間地域
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