タイトル |
カンキツおよびカラタチの光化学系1サブユニツトの構造 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
光合成の光エネルギー変換にともなう電子伝達に関与する成分のうち、光化学系1を構成している9種類のタンパク成分のN‐末端アミノ酸配列を明らかにした。そのうち、PSI-DとPSI-Eサブユニットに対応する遺伝子のcDNAクローンの構造を解析し、カンキツとカラタチではPSI-Dが2種類、PSI-Eは1種類存在することが明らかとなった。
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背景・ねらい |
光合成で利用されるエネルギーは葉緑体において光エネルギーから変換され生じるが、この過程には多数のタンパクや色素成分が関与している。そのなかで光化学系1と呼ばれる成分に含まれるタンパクサブユニットのうち、PSI-DとPSI-Eと呼ばれる2つのタンパクサブユニットは、電子伝達成分は持たないものの光エネルギー変換過程に間接的な影響を及ぼし、光合成の効率を左右することが微生物を使った研究で示されている。しかし高等植物での役割については未解明であり、光合成能力の改善の可能性を探るためにも詳細な解析が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- カンキツの成葉から葉緑体チラコイド膜を単離し、光化学系1を構成するタンパクサブユニットのうち、9種類のものについてN‐末端アミノ酸配列を決定した(図1)。各サブユニットの配列は、これまでに報告された他の高等植物の配列と良く一致した。PSI-Dサブユニットについては2種類の配列が得られた。PSI-Eについては1種類のみであった。
- 2種のカンキツ(ネーブルオレンジ、ポンカン)および近縁のカラタチの成葉cDNAライブラリから、PSI-DとPSI-Eサブユニットの遺伝子であるpsaDとpsaEのcDNAクローンを単離して全塩基配列を決定した。3種類のいずれからも、psaDについてはタンパク同様2種類のcDNAが見出され、それぞれpsaDa、psaDbと命名した。psaEについてはいずれも1種類のみであった。
- cDNAクローンの塩基配列から予想されるアミノ酸配列は、ネーブルオレンジとポンカンではpsaDa、psaDb、psaEすべてで完全に一致したが、カラタチでは数残基が異なっていた(図2)。各サブユニットのN‐末端アミノ酸配列に完全に一致する配列が予想アミノ酸配列中に見出され、これより各翻訳産物中での切断部位を推定した。
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成果の活用面・留意点 |
- 光合成の光エネルギー変換機構の解明に活用できる
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
ネーブル
ぽんかん
その他のかんきつ
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