タイトル |
労働強度を加味した新技術の経済効果の評価法 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
軽労化視点を加えた新技術の経済効果の評価法として,労働強度別賃金を用いた労働費の変化で評価する方法を開発した。この方法を傾斜地カンキツ園用に開発された新技術に適用すると,省力化のみの評価方法よりさらに労働費が削減され,新技術の軽労化による経済効果が計測される。
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背景・ねらい |
新技術導入の経営経済的効果は,従来省力化やそれによるコストダウン効果,規模拡大効果,所得増大効果等によって把握されてきた。しかし,最近は省力化だけでなく軽労化を目的とした技術も開発されてきており,このため省力化と軽労化を総合的に評価する方法が求められている。そこで軽労化視点として労働強度を加味した評価法を開発し,傾斜地カンキツ園用に開発された新技術に適用して,省力化のみの従来の評価法と比較する。
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成果の内容・特徴 |
- 新たな評価方法は,現地で計測が比較的容易な心拍増加指数により作業の労働強度を測定し,労働強度別に設定した賃金を用いて労働費の変化でその効果をコスト的に把握する。
- この方法を用いて傾斜カンキツ園用に開発された技術(園内作業道・小型機械化体系)を評価すると次のようになる。
①新技術導入による労働強度は,施肥と防除作業が強労働から中労働に,除草剤散布作業が強労働から軽労働に,収穫作業が中労働から軽労働に改善される(表1)。 ②時間当たり労働強度別賃金は,果樹生産費調査から求められる時間当たり賃金を中労働の賃金とする。また,重労働,軽労働の賃金はそれぞれ中労働の10%増,10%減とする(愛媛県農業会議の「農業労賃等に関する調査結果」の農業臨時雇賃金の専門作業,一般・軽作業の賃金を参考に設定)。 ③10a当たりの労働費は,慣行体系では183,854円,新技術体系では 111,914円となり,71,940円の減少となる(表2)。
- 省力化のみの従来の評価法では,新技術体系と慣行体系の差は10a当たり64,679円であったが,軽労化の視点を加えた新しい評価法ではその差は71,940円となり,さらに7,261円のコスト削減がもたらされており,新技術の新たな経済効果が計測できる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- この評価方法は労働強度が計測されれば他の作物や技術にも適用できる。
- 労働強度別賃金は当該地域の実状にあわせて設定する。
- 従来の評価におけるコスト削減とは異なることに留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
機械化体系
規模拡大
経営管理
傾斜地
軽労化
コスト
省力化
除草剤
新技術導入
施肥
評価法
防除
その他のかんきつ
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