施設栽培におけるかき「太秋」の母枝の性状と花性 愛媛果試

タイトル 施設栽培におけるかき「太秋」の母枝の性状と花性 愛媛果試
担当機関 愛媛県立果樹試験場鬼北分場
研究期間 1998~2001
研究担当者 松下丈権
松本秀幸
清水康雄
発行年度 1998
要約 「太秋」の雌花の着生は母枝の節位に支配され、上位節ではかなりの雌花が確保されているものの、着果が不安定で樹勢衰弱となるのは下位のほとんどの節に着生する雄花の多さが原因である。愛媛県立果樹試験場鬼北分場
背景・ねらい 「太秋」はこれまでにない高品質のカキで栽培の意欲は高いが、雄花が着生しやすく、雌花が少ないために結実の不安定と樹勢の衰弱をきたしやすい。特に施設栽培における生産性の向上を図るため、2月9日加温の「太秋」(高接6年目)の母枝の性状(基部直径、長さ、向き)と着花の特性を調査し基礎資料とする。
成果の内容・特徴
  1. 新梢の花性は母枝の節位に大きく支配され、第1節(技の先端から第1節)から発生する新梢は母枝の強弱、向きに関わらず高い確率で雌花となり、母枝の節位が下がるほど雄花の着生する枝(以下雄花新梢とする)が増加する。
  2. 基部の直径10mm以上、また長さが60cm以上の強い母枝では、下位節まで雌花の着生する枝(以下雌花新梢とする)が発生し、基部直径8mm未満、長さ40cm未満の弱い母枝では、逆に上位節も雄花が支配的で4節以下ではほとんどの新梢は雄花となる。
  3. 母枝の向きは、母技の強弱と関係が深く、従って花性にも同様の傾向が示される。その中でも横向きの母枝では、特徴的に下位節まで安定して雌花新梢が発生する。
  4. 雌花と雄花が同一新梢上に着生する事はなく、また雌花新梢と雄花新梢はほぼ同数発生し、不着花新梢は極めて少ない。また、前年の母枝の花性は翌年の新梢の花性に影響しない。
  5. 雌花新梢は1本当たり平均で11節、その内約3個(節)前後の雌花を着け、他の残りの節は新葉のみとなる。これに対して雄花新梢では、ほとんどの節位に2個の側花を伴った雄花を着生する。これらから、調査母枝78本上の総着花数を試算すると、雌花1,050個〈376*2.8)、雄花8,510個(394*7.2*3)となる。
 
図1 母枝の基部径と雌花新梢発生率図2 母枝の基部径と雄花新梢発生率表1 母枝の向きと雌花新梢発生率表2 新梢の性状 
成果の活用面・留意点
  1. 発生する新梢は、雌花又は雄花を着生しており、特に母技の下位節は雄花のみとなり、強い切り返しでも発育枝は得られず、逆に枝の衰弱を招く事となる。しかし、雌花の数は十分に確保されていることから、今後は雄花着生のメカニズムを解明し、これをコントロールする技術の確立が必要である。
図表1 228686-1.jpg
図表2 228686-2.jpg
図表3 228686-3.jpg
図表4 228686-4.jpg
カテゴリ かき 施設栽培

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