タイトル |
中山間地域におけるジオテキスタイル不織布を用いた圃場法面整備 |
担当機関 |
四国農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
山下恒雄
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発行年度 |
1999 |
要約 |
本技術は、豪雨等による過剰水を排除し崩壊を防止し、法面の安定を図るため、ジオテキスタイル不織布を高さ8m以下の法面の内部に水平に敷設する方法である。法面の高さと勾配より設計され低コストで施工出来る。
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背景・ねらい |
中山間地域では、毎年のように豪雨により法面の崩壊が起こっていることのほか、農地の拡大と農作業の効率化を図るため、基盤整備が行われている。こうした地域では、地形が急勾配になっているため、圃場法面が安定するように圃場を造成する必要がある。このため、中山間地域の圃場整備や災害復旧事業の法面の造成・整備にジオテキスタイル不織布(以後ジオテキスタイルという)を利用した低コストの技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 現地調査より圃場法面が豪雨等によって崩壊するのは、法面内部に過剰水が発生し、 間隙水圧が上昇し、土の強度が低下するためと推定した(データ省略)。このため、試 験盛土の自然降雨による崩壊試験を行った結果、前の推定と同様の結果が得られ、さらにジオテキスタイルの敷設により過剰水が排水、土が補強され、法面が安定している (図1‐1、1‐2)。
- 設計は、現地の状況から勾配と法面の高さを決め、表1と設計図(1例として図2) によって行う。ジオテキスタイルは、中段までが補強・排水と侵食防止を、中段以上は 侵食防止のみの機能を有する。排水と補強用のジオテキスタイルは奥行きを法面高さと 同じ長さとし、侵食防止用は奥行きを1mとする。敷設するジオテキスタイルの上下間隔は、底面から2段は30cmとし、その上は50cmとする(図2)。
- 施工は対象となる法面を掘削し、底面にジオテキスタイルを敷設し、盛土を行う。さ らにジオテキスタイルを敷設し、盛土することを繰り返す。ジオテキスタイルを敷設す る盛土面は、法面表側に向けて2~5%の勾配を付ける。使用する土は、現地土を主に使用するが、締固めを十分に行う必要があり、締固めが行いやすい最適含水比で使用することがよい。この技術による施工コストは、高さ5mではコンクリートブロック擁壁工より約4割安い。
表1 設計のための法面高・勾配と図面番号
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成果の活用面・留意点 |
- 基礎地盤は、盛土を支えることが出来る安定な地盤に適用できる。
- この技術は法面高さ8mまでとする。高さ8m以上は、安全性を考慮して既存のマニュアル注)を適用する。
- 法面の侵食防止のため種子吹き付けを行うことが望ましい。
- 火山灰土や砂礫の法面へは適用に検討を要する。
注)ジオテキスタイル補強土工法普及委員会:ジオテキスタイルを用いた補強土の設計・施工マニュアル、土木研究センター、1993.5
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
コスト
中山間地域
低コスト
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