不知火の発芽後採収による新鮮完熟果生産と樹勢強化

タイトル 不知火の発芽後採収による新鮮完熟果生産と樹勢強化
担当機関 愛媛県立果樹試験場南予分場
研究期間 1999~2002
研究担当者 高木信雄
笹山新生
藤原文孝
発行年度 1999
要約  不知火は減酸しにくく、貯蔵輸送中に鮮度が低下し、樹勢が低下しやすいが、屋根掛け栽培して発芽後15日頃に採収すると、高糖低酸で輸送中の腐敗も少ない新鮮完熟果が生産される。しかも春梢の発育が促進され、樹勢も良好となる。
背景・ねらい
不知火の栽培面積も1,000haを越えたが、食味のばらつきが多く、貯蔵出荷流通後の品質の劣化あるいは樹勢低下し易いなど問題点が多い。一般に露地栽培の不知火は1~2月に採収され、2カ月以上貯蔵されて出荷されるが、減酸には果実や園地間で差があり、酸高果が多く食味評価を落としている。しかも貯蔵庫内や出庫後市場において果皮障害が多発し、腐敗も多い。また、無加温栽培や屋根掛け栽培においては、早期に出荷すると果皮障害は発生しないが、糖度が低く露地栽培よりも食味が劣る場合が多い。そこで、クエン酸含量の高い日向夏や河内晩柑では、発芽後採収して食味を向上させているが、同様に不知火において発芽後採収の食味向上や鮮度保持効果に及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 1月上旬採収の露地栽培の果実糖度は13以下で低く、クエン酸は1.3%以上と高く、食味は劣る。その後、低温貯蔵して4月下旬に出荷してもクエン酸は1.0%以上で、しかも果実間でばらつきが多い。2月採収の施設栽培の果実糖度は15以上で、クエン酸は1.1%程度であるが、採収後低温貯蔵してもクエン酸の減少は少なく、じょうのうは硬く、肉質も不良で食味が劣る。一方、発芽2週間後まで着果させ採収した果実は、糖度が18近くに達する。クエン酸は発芽後急速に減少し、糖酸比が高い。なお、す上がりが僅かに認められるが、食味は著しく良い(表1、2)。
  2. 発芽前採収の低温貯蔵果は、輸送後に腐敗やヤケ果が多発するが、発芽後採収し、速やかに出荷した果実は、東京市場輸送後も腐敗や果皮障害の発生はなく、市場評価か高い(表2)。
  3. 次年の着花数は、発芽前に採収した樹よりも、発芽後に採収した樹の方が着花数が少なく、春梢の発生数も多く、樹勢が強まり、かつ、摘果労力も節減される(表3)。
  4. 発芽後採収した樹の次年の果実は、大果でネックが形成され、外観上高品質となる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 発芽後まで着果させると着花が抑制されるので、6月下旬に早期1回摘果して翌年の着花を確保する必要がある。また、冬季に-4℃以下の低温に長時間遭うと寒害被害を蒙るので、最低温度が-3℃以上になるように簡易の暖房器の設置あるいは、低温遭遇時には井戸水のぬるま湯かん水などの寒害回避策を講じる必要がある。

図表1 228777-1.jpg
図表2 228777-2.jpg
図表3 228777-3.jpg
カテゴリ 施設栽培 出荷調整 日向夏 輸送 良食味

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