タイトル |
チェックリスト分析によるキク省力栽培技術の経済評価 |
担当機関 |
香川県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
十河土志夫
茂木知江子
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発行年度 |
2000 |
要約 |
キク栽培における養液土耕、直接挿し、無側枝性品種栽培技術は、チェックリスト分析から、労働時間の2.9~19.5%の省力化が図れるが、資材費、固定費については技術により増減する。
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背景・ねらい |
キクの新省力技術として養液土耕栽培、直接挿し、無側枝性品種(芽なしギク)を利用した栽培技術の開発普及が進んでいる。そこで、チェックリスト分析により、各技術により影響される要因をすべて摘出して技術の経済評価を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 養液土耕栽培は、かん水・施肥を自動化することによりこの作業を26.1~44.4時間省力化できる。施設の減価償却費が49~62千円増加するが、労働費が38~65千円、肥料費が32~35千円少なくなるため、生産費は8~51千円減少する。また、所得についても14~30千円減少するが、時間当たり所得はわずかに増加する。
- 直接挿し栽培は、挿し穂を直接本ぽに定植するため直接挿し直後のべたがけ作業が必要となるが、育苗・定植・定植までのかん水作業を34.8~55.2時間省力化できる。挿し穂の価格が定植苗よりも安価なため、種苗費がピンチ栽培で85~94千円、ノーピンチ栽培で210千円少なくなる。生産費は、労働費が50~80千円少なくなることから、130~278千円減少する。所得は、資材費の減少額79~198千円がそのまま増加し、単位時間当たりの所得も126~155円増加する。
- 無側枝性品種栽培は、側枝の発生の少ない品種を用いることにより、芽かぎ作業を152.7~153.6時間と大幅に省力化できる。利用できる品種が限られていることから種苗費が割高となり51~126千円増加するが、労働費が大きく減少することから、生産費は97~171千円減少する。また、夏菊ピンチ栽培では、無側枝性品種の単価がやや高いため所得が194千円増加し、時間当たり所得も512円増加する。しかし、年末ノーピンチ栽培では、無側枝性品種の単価を既存品種より1割低く設定しているため、所得は406千円、時間当たり所得は377円減少する。
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成果の活用面・留意点 |
- 省力栽培技術(養液土耕、直接挿し、無側枝性品種)を導入する際の技術、コスト 評価の参考になる。
- データは農家の経営日誌及び聞き取り調査から算出し、収穫本数35,000本/作・10a、販売単価は3年間の平均を用いている。
- 無側枝性品種栽培の年末ノーピンチ作型については、現在のところ市場流通量が極めて少なくバックデータが得られにくいため、慣行品種に比べ種苗費が増加(+3円/本)し、販売単価が低下(-10%)するとして試算しているので、収益性については今後の市場動向等を考慮する必要がある。
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
きく
くり
経営管理
コスト
栽培技術
省力化
施肥
品種
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