タイトル |
樹冠上部全摘果による温州みかんの隔年結果防止と品質向上 |
担当機関 |
愛媛県立果樹試験場南予分場 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
高木信雄
笹山新生
藤原文孝
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発行年度 |
2000 |
要約 |
隔年結果の甚だしい西南暖地の温州みかんにおいて、表年に樹冠上部の果実を全摘果すると翌年からの隔年結果が防止できる。しかも当年の果実の糖度は高く、浮皮果の発生も少ない。
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背景・ねらい |
年平均気温が17℃以上に上昇した西南暖地の温州みかんは、裏年には樹冠上部から強い春梢が発生して、それが結実不良を助長して、隔年結果性が大きくなっている。こうした傾向は、老木や珠心胚系統のみかんでより顕著である。一般に早期摘果においては、樹冠内の小玉を摘果しているが、これに対し、樹冠上部を摘果した場合の隔年結果と品質に及ぼす影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 樹冠上部全摘果した樹では、翌年の裏年には樹冠外周に着花量が多く、3年目の表年には樹冠上部から多数新梢が発生し、無着果の側枝の割合が40%と高い。これに対し、樹冠下部を摘果した樹では、翌年の裏年に樹冠外周に強い新梢が発生して着花結実量が少なく、3年目は樹冠内や下部の新梢の発生が不良で、無着果枝の側枝の割合も20%に低下する(表1)。
- 樹冠下部の摘果や枝別摘果、間引き摘果では、翌年の裏年の収量は60%以下に低下するが、樹冠上部全摘果では30%程度の低下に留まり、3年目には裏年がなくなる(表2)。。
- 樹冠上部全摘果した樹では裏年にも大果が少なく、表年には上部全摘果と下部全摘果の樹で果実の大きさにほとんど差異がない(表2)。果汁の糖は、表年と裏年のいずれも樹冠上部を全摘果した方が0.5%以上高く、クエン酸含量はほとんど差異がない。浮皮の発生も、樹冠上部の摘果で明らかに少なくなる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 着花過多樹では、摘蕾や予備枝設定などをして春梢や5月芽の確保をしておく必要がある。また、樹勢が旺盛な樹では、エチクロゼート200ppm液を樹冠上部に散布すると、摘果が省力に行える。ただし、密植園では間伐を行う必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
温州みかん
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