増殖機能を有する人工魚礁の開発

タイトル 増殖機能を有する人工魚礁の開発
担当機関 山形県
研究期間 1994~1996
研究担当者 高木儀昌
森口朗彦
木元克則
発行年度 1996
要約 沖合漁場造成用の新たな施設として、表層から海底までを鉛直的に有効利用できる多機能な人工魚礁を開発し、日本海北部海域に設置した。調査の結果、頂部にはブリ、ヒラマサ、全体的にはウスメバルが蝟集し、海藻の着生も確認できた。
背景・ねらい 我が国の水産物の安定供給と水産業の維持・拡大にとって、200海里水域の有効利用と持続的な開発は重要な課題である。現状は、魚礁設置や増殖場の造成が沿岸漁場整備開発事業として実施され、沿岸から沖合へと事業海域が拡大している。しかし、漁獲技術の水準の高さに対する漁場面積や生物資源の状況は甚だ不足しており、資源の増大を図ることが急務となっている。そこで、沖合海域の有効利用と資源培養を目的とし、天然礁の有する集魚機能と増殖機能を備えた人工魚礁の開発に着手した。
なお、研究の普及を念頭において、施設の材質(鋼製を主体に、一部にコンクリートパネルや擬岩を利用した。)形状及び施工法については、魚礁設置事業において一般的に用いられている機材あるいは技術で製作できることを条件に検討した。なお、擬石については、構造物全体の重量を軽減し、安定した海藻の付着基質を上部構造に配置するために用いた。(参照図1)
成果の内容・特徴 山形県温海町鼠ケ関港ヤードにて高さ35m、体積4000m3の試験礁を製作し、沖合い20kmの天然礁海域(水深62m)に既存の魚礁とともに平成7年5月に設置した。調査の結果、以下のような結果が得られた。
  1. 回遊性の魚類(ブリ、ヒラマサ、アジ)から底生性魚類(メバル類、ハタ、タイ類)まで、主に有用な魚類が蝟集し、近傍の天然魚礁に類似する結果が得られた。
  2. 上部のリングタワーを中心に小型魚が蝟集し、特にウスメバルについては上部に小型魚、中層から底部に大型魚が分布しており、魚礁構造との相関が認められた。
  3. 水深37mの擬岩部にツルアラメを主体とする海藻の着生が確認でき、幼稚魚の保護・育成場の造成の可能性が見いだせた。
  4. 産卵直前と考えられるウスメバルやマダイの蝟集、小アジを追尾するブリの行動、着底直後と考えられるウスメバル稚魚等が確認され、増殖機能が窺われた。
  5. 通常の施工機材で製作及び設置できることが確認され、既存魚礁に比べて単位体積当たりの単価が安価にできることが判った。
以上のことから、本試験礁は魚礁機能と増殖機能を合わせ持つものであり、水深の鉛直的利用を促進できることが見いだせた。
成果の活用面・留意点 公共事業等に適用の可能性のある新しいタイプの人工魚礁が開発された。海域の特性を十分調査した上で、本魚礁の特性を活かした計画の作成が望まれる。
図表1 229012-1.gif
図表2 229012-2.gif
図表3 229012-3.gif
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