以西底びき網漁業における漁獲物組成と漁場利用の長期的変化

タイトル 以西底びき網漁業における漁獲物組成と漁場利用の長期的変化
担当機関 西海区水産研究所
研究期間 1996~1999
研究担当者 時村宗春
堀川博史
発行年度 1996
要約 戦後から現在にいたる約半世紀の以西底びき網漁業の漁獲物組成と漁場利用の長期的変化について多変量解析の手法を用いて検討を加えた結果、漁獲物組成と漁場利用パターンの年代区分には、共通して概ね1955年、1972年前後、1981年前後に年代の区切りが存在し、漁場利用パターンと漁獲物組成との密接な関係が明白となった。
背景・ねらい 戦後半世紀に以西底びき網漁業は量的に大きな変化を示したが、その主要な漁獲対象もグチ類のようなすり身原料となる「潰し物」からイカ類などの鮮魚で販売される「惣菜物」が主体となるなど、質的にも大きく変化したといわれている。また、このような漁業の質的変化の裏には操業形態、とくに漁場の利用パターンの変化が伴っていたことが予想される。そこで本研究においては、第2次世界大戦後から現在にいたる約半世紀にわたる以西底びき網漁業の漁獲物組成と漁場利用の長期的変化について多変量解析の手法を用いて検討を加えた。
成果の内容・特徴
  1. 漁獲物組成のクラスター分析により、漁獲物組成の似通った4つの年代が区分された。第1の年代は1949年~1954年の6年間、第2の年代は1955年~1970年までの16年間、第3の年代は1971年~1982年の12年間、第4の年代は1983年~1994年の12年間である。
  2. 漁場利用パターンのクラスター分析により、漁場利用パターンの似通った6つの年代が区分された。第1の年代は1949年と1950年の2年間、第2の年代は1952年~1954年までの3年間、第3の年代は1955年~1971年の17年間、第4の年代は1972年~1980年の9年間、第5の年代は1981年~1992年の12年間、第6の年代は1993年と1994年の2年間である。
  3. 上記の異なる視点からの年代区分には、多少の相違は認められるものの、概ね1955年、1972年前後、1981年前後に年代の区切りが存在し、漁場利用パターンと漁獲物組成には強い関連があることが裏付けられた。
  4. 漁獲物組成資料を用いた主成分分析により、第3主成分までで変量の持っている情報の大部分が要約されることが判明した。そして、第1主成分はイカ類への非依存度、裏返せばキグチへの依存度を表し、第2主成分は漁場の拡大・縮小に関連する成分と解釈されたが、第3主成分は十分な解釈ができなかった。
  5. 第1、第2主成分の二次元平面への46年間の各年のプロットは、戦後漁場の拡大とともにキグチへの依存度が高まった過程、1960年代に漁獲量がピークに達するころからキグチへの依存が徐々に低くなり始めた過程、1970年代以降イカ類の依存度を高めながら漁場が縮小した過程をかなり良く再現していた。
成果の活用面・留意点 活用面・留意点:
漁獲圧の地理的分布が類型化されたことにより、漁獲圧と群集構造変化を具体的に論じることが可能となった。また、漁獲物組成の変化が資源状態の悪化だけでなく、漁場利用パターンの変化も反映していることが明かになったことから、漁獲統計に基づく資源解析結果の解釈に際しては、漁場利用パターンの変化を充分加味する必要があることが明白となった。
[具体的データ]
図表1 229025-1.JPG
図表2 229025-2.JPG
図表3 229025-3.JPG
カテゴリ なす

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