岩手県近海における親潮水の分布パターンの類型化

タイトル 岩手県近海における親潮水の分布パターンの類型化
担当機関 岩手県水産技術センター漁業資源部
研究期間 1997~1997
研究担当者 高杉 知
発行年度 1997
要約 岩手県近海に分布する親潮水を、大局的かつ客観的に、特徴ある複数のパターンに分類することが可能か否か検討し、併せてその時空間的特徴を検討した。その結果、6つのパターンに分類でき、その出現状況から1年を5つの時期に区分した。
背景・ねらい 岩手県における漁業生産は、短期~長期にわたる水塊配置の変動に大きく左右され、このうち分布形態が複雑な親潮水の動向には特に高い関心が払われている。この親潮水の分布形態を簡素化・単純化し、時空間変動の様子・実態を容易にすることで、漁業生産との関連性、法則性を大局的かつ客観的に見い出し、漁海況予測手法の開発を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 31年間の月別データから親潮水の分布形態を分類した。距岸20海里を基準として離岸型と接岸型に大別し、接岸型についてはその分布海域によってさらに細別した(図1)。
  2. 各型の出現頻度は、離岸型のO型が46%と最も高く、接岸型ではC型が17%、NC型が15%、N型が10%と、県中部以北に偏った分布形態を示す割合が高かった。他の型の出現頻度は、W型が7%であったが、CS型とS型は各々5%以下と低かった。このため、CS型とS型は一括してS型にまとめた。なお、NS型は1例のみの出現のため解析から除外し、計6パターンに分類した(図2)。
  3. 高頻度で出現したO型の月毎の累年出現平均に着目した結果、特徴ある5時期に区分できた。3~5月は接岸型の出現頻度が高く(76%)接岸期に、一方、11~12月はO型の出現頻度が81%を占め、親潮水の北退期とそれぞれ判断した。その他の1~2月、6~8月、9~10月の各時期はそれぞれ接岸期、北退期への移行の時期と考えた(表1)。
  4. 接岸期の出現パターンはNC型が25%と最も多く、W型、C型、S型も約15%出現したことから、この時期は親潮水が広域的に分布するほか、分布形態が多様化すると考えられる。移行期の出現パターンはC型の出現を中心とし、NC型、N型の県中部以北に接岸するパターンが主で、沿岸沿いに親潮水が分布する場合が多い時期と判断される。
  5. 広域に分布するW型、沖合から沿岸に差し込むCS型、S型は、分布形態が多様化する接岸期では高頻度で出現するが、他の時期における出現はごく少なかった。
成果の活用面・留意点 今後、分布パターンと漁況変動との対応を具体的に検討し、分布パターンからみた漁況の地域性・同時性の具体的な現象を抽出する。
図表1 229075-1.gif
図表2 229075-2.gif
図表3 229075-3.gif
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる