松川浦内に出現する魚類相について

タイトル 松川浦内に出現する魚類相について
担当機関 福島県水産試験場
研究期間 1983~1997
研究担当者
発行年度 1998
要約 松川浦に出現する魚類について、これまでに得られた生態的知見を整理した。また浦内での採捕数と外海での漁獲量の関連を検討した結果、イシガレイについては、正の相関が見られ、ある程度の漁獲予測が可能と推測された。
背景・ねらい 内湾性の海域である松川浦には、多種多様の魚類が出現し、特に水産上重要な魚種の幼稚魚の出現について調査が行われてきた。そこで、これまでに得られた魚類の組成、生態等を整理し、また外洋の資源量との関連を検討することにより、栽培漁業や資源管理型漁業等の基礎資料とする。
成果の内容・特徴
  1. 昭和58~平成元年、および平成7~9年間の調査において出現した魚は47種以上で、水産上重要な魚種ではメバル、アイナメ、マゴチ、イシガレイ、マコガレイなどが多く、またホシガレイの幼魚も出現した。
  2. アイナメは2月下旬から4月下旬にかけ全長4~7㎝の稚魚が出現し、6月に全長10cm、11月に20cmに達し、外海へ移行するものと考えられた。食性は全長6~10cmのものは端脚類やアミ類などを食し、成長に伴い底生性の餌料生物である短尾類や二枚貝、魚類などが多くなった。
  3. マコガレイは6~7月にかけて採捕数が多く、以降漸次減少し10月以降はあまり採捕されなかった。当歳魚は6月に全長6cm、12月には9~16cmへと成長した。
  4. イシガレイは4月に着底稚魚がみられ、6月まで多くの稚魚が見られたが7月以降は減少傾向を示した。4月に全長2~3cmのものが、6月に5cm、8月に8cm程度に達した。10月以降は成長が鈍くなったが、満1歳の12月には13~14cmに達した。成長とともに澪筋など深い水深へ生息場を移し、7~8月以降は成長の良いものから外海へ出ていくものと推測された。餌料としては端脚類が最も多く出現し、二枚貝の水管、多毛類などが多かった。また全長5cm以下の個体ではコペポーダが見られた。
  5. これら松川浦内に出現する魚種は、採捕数に年変動が見られたことから、外海の漁獲量との関連を検討した。その結果、マコガレイ、アイナメ、メバルなどでは明確な相関は見られなかったが、イシガレイについては、調査の1年後、2年後と正の相関がみられ、松川浦内での採捕調査結果から翌年以降の漁獲量がある程度予測できることが解った。
成果の活用面・留意点 今回の調査結果から、水産上重要な魚種について生態的な資料を得ることが出来た。またイシガレイについては、松川浦内の調査から漁獲量の予測がある程度可能なことが解ったが、今後はより定量化できるように調査手法を検討する必要がある。
図表1 229109-1.gif
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