福島県におけるミギガレイの漁獲実態

タイトル 福島県におけるミギガレイの漁獲実態
担当機関 福島県水産試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 島村信也
発行年度 1998
要約 平成8~9年のミギガレイは福島県の底びき網漁業におけるカレイ類の漁獲量の上位を占めていた。また平成9年9月から10年6月にかけて漁獲物の精密測定を行ったところ漁獲物には未成熟の個体が多く含まれていると推測された。
背景・ねらい 福島県では近年ミギガレイの漁獲が目立ってきているが、県統計の対象種となっておらず、詳細な漁獲量は不明である。そこで、漁獲量推移や漁場および漁獲物の調査を行い、漁獲実態を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴 漁獲量については県内主要5漁協について平成元年以降の魚種別統計を入手し概数を算出した。相馬原釜については平成9年9月~10年6月の単価別漁獲量、および金額を算出した。またこの間月1回底びき網で漁獲され相馬原釜および小名浜に水揚されたミギガレイを1隻分購入し、魚体精密測定および年齢の査定を行った。
  1. 漁獲量は平成6年の278トンをピークに減少傾向にあるが、平成8~9年は約180トンと底びき網のカレイ類の漁獲量では8年で2位、9年で3位であり、その多くが相馬原釜で水揚されていた(図1)。相馬原釜においては、漁獲金額では全体の5%であるkgあたり200円以下のミギガレイの漁獲量が全体の40%近くを占めていた(図2)。また体長組成では雌で体長15cm台に、雄で体長13cm台にモードが見られた(図3)。
  2. 平成8年の底びき網の操業日誌から漁獲量およびCPUEの分布を調査した。その結果、漁獲は水深100~300mの海域でみられ、特に請戸~茨城県境の水深150~200mで多く、CPUEでは小名浜~茨城県北部の水深150~200mの海域で高かった(図4:漁獲量、CPUE)。また月別の漁場分布から季節による大きな深浅移動はないと推測された。
  3. 耳石による年齢査定と実測体長により非線形最小二乗法を用いてvon bertalanffyの成長式を求めた(図5:オス、メス)。この成長式と漁獲物の体長組成との比較から漁獲される個体の半数近くが雌雄とも3才以下で体長は雌で16cm未満、雄で14cm未満と推測された。
  4. 標本を体長により雌を3区分(18cm以上、14~18cm、14cm未満)、雄を2区分(14cm以上、未満)し、月毎の生殖腺重量指数(GSI)の平均を調査した結果、雌雄とも14cm未満ではほぼ全て、雌でも体長18cm未満の一部は周年低い値を示し、未成熟であると推測された。このことから福島県で漁獲されるミギガレイには未成熟の個体が多く含まれていると推測された(図6:オス、メス)。
成果の活用面・留意点 本県調査船「いわき丸」で定点トロールにより継続して調査する予定。
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図表2 229110-10.gif
図表3 229110-2.gif
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