タイトル |
岩手県沖合上部大陸斜面における底魚類の群集構造 |
担当機関 |
岩手県水産技術センター |
研究期間 |
1994~2005 |
研究担当者 |
後藤友明
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
岩手県沖合で行われた着底トロール調査に基づき、春季に上部大陸斜面上に分布する底魚類の群集構造を推定した。その結果、本海域は、深度勾配に沿って、種構成とともに優占種が変化し、異なる群集を形成していることが示唆された。
|
背景・ねらい |
岩手県を含む三陸沖合における底魚類を中心とする生物群集に関する研究は、限られた海域あるいは期間に限定されており、季節的な群集構造の変動や海域特性については不明な点が多い。 そこで本研究では岩手県沖合域を対象として、底魚類の群集構造の特性を明らかにし、主要な底魚類の資源管理に向けた提言を行うことをねらいとした。
|
成果の内容・特徴 |
- 1998年4月~8月にかけて漁業指導調査船岩手丸(158t)を用いて、岩手県沖合の55地点(水深153~545m)において着底トロール調査を実施した(図1)。各調査地点ごとの漁獲物の魚種別の出現頻度に基づき調査地点の類似度を算出した。また、海域の種多様性を評価する指標としてShannon-Wiener Index(H')を用いた。
- 本研究の結果、春季の岩手県沖合域は比較的少ない種数で構成される海域で、ニジカジカ及びミギカレイが優占する陸棚縁辺部(A)、スケトウダラ及びマダラが優占する水深200~300mの海域(B)、イラコアナゴ、イトヒキダラ、キチジ、カンテンゲンゲが優占する水深300m以深の海域(C)と、水深帯に沿った3つの大きな群集に分割された(図2、表1)。
- また、スケトウダラ及びマダラの優占する水深200~300mに形成される群集では、スケトウダラ1歳魚と2歳以上の年級群では明瞭に異なる水深帯に出現していることから、スケトウダラは、異なる年級群で水深帯を分割して生息しているものと推測された(表2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 平成17年度まで継続して調査し、季節変動等を明らかにするとともに、これらの結果をもとにより現実的な現存量の把握を行う。
- スケトウダラ小型魚の過剰漁獲回避に向けた漁獲方法の提案を行う。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
季節変動
|