放流クロソイの市場外利用を含めた累積再捕率

タイトル 放流クロソイの市場外利用を含めた累積再捕率
担当機関 宮城県気仙沼水産試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 菊地喜彦
小野寺毅
発行年度 1999
要約 クロソイの放流効果を魚市場水揚げ以外に遊漁船による釣獲,陸釣りによる釣獲,自家消費等の遊漁以外での利用も含めると累積再捕率は3~15%となり,魚市場の水揚げ尾数から算定した数値の2.7倍以上となることが明らかとなった。
背景・ねらい 宮城県では1983年度から県北部の志津川湾においてクロソイの放流を実施している(図1)。その結果,志津川魚市場における年間水揚げ尾数は,放流翌年の1984年には約1,300尾であったものが,1992年には約35,000尾と約27倍に増加した(図2)。
しかし,近年10万尾以上の放流を実施しているものの水揚げ尾数,累積再捕率(表1)ともに減少している。この要因として,魚市場出荷以外の利用形態が多様化してきたとも考えられ(図3),遊漁船による釣獲,陸釣りによる釣獲,自家消費等の市場出荷以外での利用の3項目について実態を調査した。経済事業移行を念頭におき、減少要因を解明するとともに魚市場水揚げ以外も含めた再捕率を求めた。
成果の内容・特徴
  1. 遊漁船による釣獲
    標本船調査から年間釣獲尾数は4,486尾と推定された。魚市場の水揚げ尾数を1とすると遊漁船による年間釣獲尾数は0.8となる。
  2. 陸釣りによる釣獲
    びく調査から、釣獲尾数は釣り人延べ214人で35尾であった。陸からの年間釣獲尾数を推定するには年間の釣り人の総数を把握しなければならず,現段階では推定困難であるが、釣獲尾数は無視できないものと考えられる。
  3. 自家消費等の市場出荷以外での利用
    漁業者,民宿経営者へのアンケート調査や聞き取りから,市場出荷と同程度の尾数が利用されており,魚市場の水揚げ尾数を1とすると市場出荷以外の利用尾数は0.9となる。
  4. 再捕率の算定
    以上の結果から,志津川湾で捕獲されたクロソイは魚市場の水揚げ尾数の2.7倍以上となり(図2),累積再捕率は3~15%以上と推定される(表1)。したがって、魚市場の水揚げ尾数の減少は利用形態の多様化によるものと考えられ、安定した放流技術が確立された。
成果の活用面・留意点
  1. 魚市場出荷以外の利用実態を調査したことにより、魚市場の水揚げだけでは事業化は難しいと考えられた。
  2. クロソイ放流事業を経済事業として成立させる場合,受益者範囲を漁業者だけでなく,地域振興も踏まえて広く捉える必要がある。
図表1 229153-1.gif
図表2 229153-2.gif
図表3 229153-3.gif
図表4 229153-4.gif
カテゴリ 経営管理 出荷調整

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