延縄式養殖施設を用いたカキ養殖試験

タイトル 延縄式養殖施設を用いたカキ養殖試験
担当機関 福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所
研究期間 1998~1999
研究担当者 中川 浩一
発行年度 2000
要約 福岡県豊前海域において延縄式によるカキ養殖試験を行った。延縄式養殖は、従来のイカダ式と比べて付着基盤からのカキの脱落が少なく、成長もよく、単位面積当たりの収穫量はイカダ式のそれの1.5倍であった。また波浪による施設の破損も見られなかった。延縄式によるカキ養殖はイカダ式養殖と比べて、成長、収穫量および費用対効果の面からもみて良好であることがわかった。
成果の内容・特徴 豊前海におけるカキ漁場の有効利用を図るため、延縄式によるカキ養殖試験を行った。
  1. 成長:
    10月時におけるカキ1個体当たりの平均重量は、延縄式の20.9gに対して、イカダ式では、15.5gであり、延縄式の方が成長が良いことがわかった。(表1)さらに、付着基盤1個当たりの付着個数、重量ともイカダ式に比べて延縄式の方が良く、重量に比較すると10月時で約2倍の差が見られた。(表2)。両者の間に成長等の差が見られたのは、施設に対する波浪の影響差異が関係しているものと思われる。また、延縄式施設の波浪による破損は見られなかった。
  2. 費用対策効果:
    イカダでの垂下ロープ1本当たりの平均的な収穫量は8kgであり、延縄の場合はその2倍の収量が見込まれる。その結果施設面積当たりの収量は延縄64kg/m2に対してイカダ40kg/m2、施設費に係る費用で比較すると延縄107kg/万円に対して80kg/万円となり、延縄式による養殖はイカダ養殖と比べて施設面積あるいは施設に要する費用面から見ても良好であることがわかった。
以上のことから、延縄式によるカキ養殖は、イカダ式のそれと比べて成長、収穫量および費用対効果の面からも優れていると言える。
成果の活用面・留意点 【成果の活用面・留意点】
延縄式はイカダ式と比べて、施設の作成・維持管理が容易であり、高齢者によるカキ養殖も可能であると思われる。
問題点としては、カキが生長して重量が重くなった場合、幹ロープがたわみ、垂下ロープ同士が接触し、カキの脱落等が見られる。今後、施設の改良を行うと同時に、漁業者への普及を図る。
【具体的データ】
図1 施設の幹ロープの長さは50mとし、10m間隔にブイ(浮力250kg)を設置し、ブイの両端を幹ロープと連結した。
幹ロープには50cm間隔で付着基盤をつけた垂下ロープを垂下した。その際、垂下ロープは幹ロープ1本当たり100本とした。
表1 カキ1個体当たりの平均重量の比較
表2 付着基盤1個体当たりのカキ付着個数と重量(g)
図表1 229159-1.gif
図表2 229159-2.gif
図表3 229159-3.gif
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