ALC標識を用いたキタムラサキウニ標識放流試験結果

タイトル ALC標識を用いたキタムラサキウニ標識放流試験結果
担当機関 岩手県水産技術センター増養殖部
研究期間 1994~1999
研究担当者 岩手県水産技術センター
発行年度 2000
要約 ALCを用いることで、従来標識が困難とされていたキタムラサキウニに標識を施すことが可能となった。また、同標識を用いた放流試験の結果、放流個体群の追跡が可能であることが確認され、放流効果の推定に効果的であるものと考えられた。
背景・ねらい キタムラサキウニ(以下ウニと記す)は、岩手県において重要な磯根資源であり、県下全体で年間400万~700万個体もの種苗放流が行われている。しかし、ウニは外見上、放流個体と天然個体を識別することが出来ず、加えて放流から漁獲までの長期間持続する標識方法が確立されていなかったことから、放流効果の推定は困難な状況にあった。
そこで、ウニの標識方法を確立することを目的として、ALCを用いた標識方法を検討するとともに、試験漁場においてALC標識を用いた放流試験を実施し、同標識を用いた放流効果推定の可否について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 標識の確認部位は、口器の中間骨が適していた(図1)。
  2. 濃度50ppmで2時間染色した場合、標識は5年以上持続することが確認された。
  3. 平成7年10月、試験漁場(禁漁区)に、ALC標識を施した平均殻径17.0mmのウニ人工種苗20,000個体を放流した。放流後は平成8年から平成11年まで年1回6月~8月にスキューバ潜水による追跡調査を行った。標識の有無の確認は、放流群の成長状況を考慮し、平成8年は50mm未満の個体、平成9年は50mm前後の個体、平成10、11年は50mm以上の個体について行った。
  4. ALC標識により放流個体と天然個体は明瞭に識別することが出来た(図2)。標識個体の平均殻径は、放流時17mmであったものが、翌8年の7月には36.9mm、9年7月には53.8mm、10年7月には60.2mm、11年6月には61.2mmまで成長し、放流後2年目の漁期(放流後約1.5年)には岩手県の漁獲制限殻径50mmを超えることが確認された。
  5. 標識個体は毎年漁場内の一部に集中して分布する傾向があり、本漁場における放流個体の移動範囲は非常に狭かったものと推測された。
  6. ALC標識を用いることにより、放流個体群の追跡が可能であり、放流効果の推定に十分利用できるのもと推測された。
成果の活用面・留意点 ウニの標識としてALC標識が効果的であることが確認された。ALC標識を用いることにより、放流個体群の追跡が可能であり、今後、放流効果の把握だけでなく、効果的な放流時期、サイズ等、放流技術の向上のための調査、研究への利用が期待される。
図表1 229188-1.gif
図表2 229188-2.gif
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