小型温度深度記録標識による常磐・三陸沖漁場におけるカツオの遊泳生態

タイトル 小型温度深度記録標識による常磐・三陸沖漁場におけるカツオの遊泳生態
担当機関 独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 かつお研究室
遠洋水産研究所
近海かつおまぐろ資源部
小倉未基
発行年度 2004
背景・ねらい 常磐・三陸沖は初夏から秋にかけての日本周辺における重要なカツオ漁場であり、竿釣(かつお一本釣)・まき網漁業により年間8万トン前後の漁獲があげられている。カツオ漁業は表面水温等から漁場の見当をつけ、表層近くの魚群やそれに群がる海鳥を目視やレーダー等の機器を用いて発見し漁獲する。漁業者の魚群探索活動の効率化にはカツオの表面への出現が重要な鍵であることから、カツオの鉛直行動の把握を本研究の目的とした。
成果の内容・特徴
  • 夏季(7月)の三陸沖漁場に北上回遊したカツオ144尾に小型温度深度記録標識を装着放流し、19尾を再捕した。うち7尾からのべ92日間の遊泳深度と温度(遊泳層の水温または腹腔内温度)を収集することに成功した。
  • カツオは昼間には深度30~50mの表層混合層下部を中心に遊泳し時折表層に浮上するが、夜間は主に表層混合層上部を遊泳した。
  • 観察された最深遊泳深度は267m、遊泳層および腹腔内温度の最低はそれぞれ9.8℃および9.7℃であった。
  • しかしながら、昼間(日出から日没、この季節で約14時間半)の90%以上、夜間のほとんど(99%以上)は50m以浅を遊泳しており、その時の水温は17℃以上であった。腹腔内温度も17℃以下に低下することはほとんど無かった。
  • 昼間の約30%、夜間ではほぼ半分の時間で表面近くの5m以浅を遊泳していた。また、昼間にカツオが5m以浅に浮上する回数は平均28回で、1回の浮上で表層に連続して留まる時間は短く、約8割が10分以内であった。
成果の活用面・留意点 カツオの遊泳深度・遊泳層の水温、日周鉛直行動および浮上頻度は、漁業者の魚群探索や資源研究における漁獲効率推定に活用できる。本研究は素群れ(常磐・三陸沖では素群れを対象とした操業で漁獲される)におけるカツオの行動であり、FAD(人工浮魚礁、熱帯水域で大規模まき網漁業で利用される)周辺のカツオの行動とは異なることも予想される。
図表1 229512-1.gif
図表2 229512-2.gif
図表3 229512-3.gif
図表4 229512-4.gif
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