タイトル |
ワカメ流通の構造的問題 |
担当機関 |
岩手県水産技術センター |
研究期間 |
2002~2005 |
研究担当者 |
宮田 勉(企画指導部)
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発行年度 |
2004 |
背景・ねらい |
輸入圧力等によって、岩手県のワカメ養殖漁家及びその顧客である加工場兼問屋の経営が悪化しているため、ワカメ商品の改善、PR戦略に資することを目的とした。
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成果の内容・特徴 |
- コンジョイント分析の結果、消費者は、ワカメを購入する際、三陸産地ブランドを非常に高く評価していた(表1)。このことから消費者に産地ブランドを訴求する必要があるが、国内主要都市(15都道府県)で販売されているワカメ商品パッケージを分析した結果、産地ブランドを前面に出したパッケージはほとんどなかった。これは零細・中小メーカーが多いため、市場調査・分析がほとんど行われていないことに起因すると考えられた。
- 岩手県産、宮城県産、鳴門産、韓国産、中国産湯通し塩蔵ワカメを、産地名を伏せて消費者200名に試食してもらい、購入しても良い上限額を回答してもらった。その結果、国産品は輸入品の1.5倍の価格であったが(表2)、量販店の実売価は3~5倍となっていることから、輸入物は非常に高く評価されていた。産地ブランド名を除く輸入品の価格競争力は高いといえる。
- アンケート調査の結果、家庭において、週1回程度の頻度でワカメを食している実態があったが、ワカメ料理方法はみそ汁、酢の物、サラダが主で多様性が乏しく、また1回の消費量が少ない。このことから、消費者は、ワンパターン化した料理に飽きているし、また小袋化をさらに求めており、パッケージ費用が嵩む方向にあった。
- アンケート調査から、国産ワカメの強みは中高年層が好む湯通し塩蔵であるが、このシェアは時代と共に縮小方向にあり、一方、市場シェアが大きく、消費が増加しているメカブ、乾燥ワカメなどは中国産を中心とした輸入物であった(図)。
- 1~4の問題点を解決するためには、
- ロゴ、キャッチフレーズ等を開発し、若壮年層~老年層に三陸産ならではのイメージを浸透させる
- 一度に消費量の多いワカメ料理を開発する
- PRを目的とした三陸産メカブ・乾燥ワカメの商品化を図る
などが必要であると考えられた。今後の課題として、これらを含めたワカメ・マーケティング戦略の構築が必要と考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
民間加工場、漁業系統団体(漁協自営加工場)、行政のワカメ商品及び構造改善に利用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
加工
乾燥
経営管理
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