長崎県における暖海性大型褐藻類の分布について

タイトル 長崎県における暖海性大型褐藻類の分布について
担当機関 長崎県総合水産試験場
研究期間 2001~2004
研究担当者 桐山隆哉
発行年度 2004
背景・ねらい 近年,長崎県の各地で,藻場の減少や消失が問題となっているが,一方で在来種に替わって暖海性の大型褐藻類(ホンダワラ類やアントクメ)の分布域が拡大しているという情報がある。そこで,その分布実態と生態的な特性などを明らかにする目的で調査を実施した。
注)平成10年にアラメ類の葉状部が欠損し,ひどい場合には茎のみとなる現象が初めて県下各地の広範囲で観察され,その後も継続している。県内の優良藻場であった宇久,小値賀,壱岐郷ノ浦町大島をはじめ,上五島西岸,平戸北岸(中野主師),西彼杵半島一帯(野母崎町野母を除く),橘湾沿岸などアラメ類の藻場がほとんど消失し,回復していない。また,ガラモ場の衰退も進んでおり,生育不良や構成種数の減少傾向がみられる。これら近年の大型褐藻類の衰退や減少の原因は主に魚類の食害によることが明らかとなり,冬期の高水温化による活動の活発化など摂食圧の増加が影響していると考えられる。
成果の内容・特徴
  1. 1960年の流れ藻調査で福江島の南岸や野母崎が北限と考えられた暖海性大型褐藻類が,県下全域に分布していることが分かった(図1)。
  2. 分布が確認された暖海性ホンダワラ類は,10種以上で,そのうち種が明らかとなったものは,キレバモク,マジリモク,フタエモク,ウスバモクの4種で,他は種名が今のところ明らかではない(図2)。
  3. キレバモクは,県下全域に広く分布し,浅場から10m前後の深場まで分布しており,フタエモクは浅場,マジリモクは深場主体に分布。また,いずれも成熟時期は,夏であることが分かった。
  4. アントクメについても,1960年頃に熊本県天草における生育が確認されていたが,本調査では,北は平戸市度島で分布が確認され,北への分布域の拡大が認められた(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 暖海性大型褐藻類などの分布域の拡大は,海洋環境の変化の指標となる。
  2. これら植物相の変化が,漁業生産にどのような変化をもたらすか,重要な課題となる。
図表1 229673-1.png
図表2 229673-2.png
カテゴリ 植物相

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