ソウジソコミジンコAmphiascus kawamuraiによるノリ糸状体培養カキ殻の付着珪藻除去効果

タイトル ソウジソコミジンコAmphiascus kawamuraiによるノリ糸状体培養カキ殻の付着珪藻除去効果
担当機関 佐賀県有明水産振興センター
研究期間 2002~2002
研究担当者 三根崇幸
川村嘉応
発行年度 2005
背景・ねらい 有明海のノリ養殖では,一般に3月から9月にかけてカキ殻糸状体を培養する。培養を開始して約2週間後から,カキ殻上に付着珪藻が目立ち始め,約1ヶ月後には表面全体を覆うようになる。カキ殻表面が付着珪藻に覆われると,光が遮られたり海水中の栄養分が奪われたりするため糸状体の生長は抑制される。このため,カキ殻の洗浄作業が月に2度は必要となる。佐賀県では,1シーズンに約7百万個のカキ殻糸状体が培養されており,カキ殻糸状体の洗浄には大変な作業労力が必要となっている。
佐賀県のノリ養殖業者の間では,カキ殻糸状体を培養する水槽にソコミジンコの1種Amphiascus kawamurai(写真1)が繁殖し,カキ殻表面の付着珪藻を除去することが知られていた。
本研究では,カキ殻糸状体培養水槽に繁殖するAmphiascus kawamuraiをソウジソコミジンコ(新称)と呼び,そのカキ殻付着珪藻除去効果を調べた。
成果の内容・特徴
  1. カキ殻表面の付着珪藻量:
    対照区のクロロフィルa量は指数関数的に増加した。実験区のクロロフィルa量の増加は少なく,6週目では対照区の約1/6の量であった(図1)。6週目,対照区のカキ殻は表面全体が付着珪藻に覆われて茶色に着色していたのに対し,実験区のカキ殻は縁辺部以外ほとんど着色していなかった。
  2. 培養海水の栄養塩:
    実験期間を通してのDIN,PO4-P,およびSiO2-Si減少量(初期値-終値)はそれぞれ対照区が,82.5,7.5,104.9μMであったのに対し,実験区は42.1,3.9,-8.4μMと小さく,実験区は糸状体の生長にとって栄養塩的には問題なかったと考えられた。
  3. 糸状体の生長:
    5週目までは両区とも同程度の生長を示したが,6週目,実験区は対照区に比べて1.2倍の生長を示した(図2)。
本研究から,糸状体培養に本種を用いるとカキ殻の付着珪藻除去効果が認められ,しかも,糸状体の生長にも影響がないことが明らかとなった。このことから,本種の付着珪藻除去行動を利用することによって,カキ殻洗浄作業の大幅な軽減が期待される。
成果の活用面・留意点
  • カキ殻糸状体培養槽に本種を添加することで,付着珪藻を取り除くカキ殻洗浄作業の軽減が期待できる。
  • 平面式で培養した場合,糞がカキ殻上に蓄積されてくるので,定期的に糞を除去する必要がある。
図表1 229807-1.jpg
図表2 229807-2.gif
図表3 229807-3.gif
カテゴリ 繁殖性改善

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