岩手県沿岸における下痢性貝毒について

タイトル 岩手県沿岸における下痢性貝毒について
担当機関 岩手県水産技術センター
研究期間 2003~2006
研究担当者 加賀新之助(漁場保全部)
発行年度 2006
背景・ねらい
岩手県沿岸における下痢性貝毒について、今後のモニタリング精度を向上させるため、最近開発された機器分析法の液体クロマトグラフィー/ 質量分析 (LC-MS) による下痢性貝毒3群の一斉定量分析法を用いて、現場における懸濁物、二枚貝等の毒量を測定し、比較検討した。 

成果の内容・特徴 2006年3月~10月に、ほぼ毎週1回、図1に示す大船渡湾清水地先調査定点(水深約24 m)において、表層から深度22 m層までを2 m深毎に採水し、これら海水試料中に含まれる下痢性貝毒原因プランクトンを同定・計数した。また、同一時期に同一定点の深度20 m層から表層までプランクトンネット(目合サイズ20 μm)を鉛直曳きして懸濁物を採集し、これらの下痢性貝毒量を機器分析(LC-MS)により分析した。さらに、同一定点の深度約10 m層に垂下したホタテガイおよびムラサキイガイを懸濁物採集時期に合わせて取り上げ、懸濁物と同様に下痢性貝毒量を分析した。海水試料中に認められた下痢性貝毒原因プランクトンの出現密度の推移を図2に示す。Dinophysis属は5月から7月に出現が認められ、このうちD. acuminataが最も濃密に出現した。図3に、懸濁物、ホタテガイ及びムラサキイガイ中腸腺に含まれる下痢性貝毒量を成分別に示す。ホタテガイは懸濁物の主要成分であるペクテノトキシン2(PTX2)をより弱毒成分であるペクテノトキシン6(PTX 6) として蓄積し、一方ムラサキイガイはPTX2を無毒成分のペクテノトキシン2セコ酸 (PTX2sa) として蓄積していた。すなわち、両種は懸濁物の毒をより弱毒あるいは無毒のそれぞれ異なる成分に体内変換して蓄積していた。これらの結果は、懸濁物の毒成分により毒化しやすい生物種が異なることを示唆している。

成果の活用面・留意点
プランクトンネット等により原因プランクトンを含む懸濁物を集め、機器分析で明らかにすることにより、毒化しやすい生物の予測を行うことが可能となり、生産者の安定生産につながる。


図表1 229849-1.pdf
カテゴリ モニタリング

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