2004~2005年に神奈川県の天然河川で発生したコイヘルペスウイルス病

タイトル 2004~2005年に神奈川県の天然河川で発生したコイヘルペスウイルス病
担当機関 神奈川県水産技術センター
研究期間 2004~2005
研究担当者 原日出夫
発行年度 2006
背景・ねらい
コイヘルペスウイルス(KHV)病はコイに大量死を引き起こす疾病として知られており,日本では,2003年に初めて発生が確認された。その後国内各地に急速に拡がり,2005年10月までに全国の都道府県で発生が確認されている。神奈川県では2003年12月に釣り堀のコイからKHV陽性が初めて確認されたが,このとき釣り堀および排水先の河川においてコイの大量死は発生していない。しかし,2004年4月以降,県内の河川ではKHV病によるコイの大量死が頻発した。一方,KHV病は新しい病気であることから,それに関する知見は十分とは言えない状況にある。今後KHV病対策を検討するうえで,疫学的知見は重要である。そこで,KHV病の疫学情報として神奈川県下の天然河川におけるKHV病の発生状況をまとめるとともに,大量死の発生について水温との関係を検討したので報告する。

成果の内容・特徴 2004年4月から2005年12月までの間,県下の河川で死亡したコイについてKHVのPCR検査を実施したところ,2004年は22尾,2005年は3尾からKHVが検出された。KHVが検出された水域は河川9水系であった(表)。2004年にKHVが検出された水域では死亡尾数が23,000尾を超えたが,翌年の再発は帷子川及び鶴見川のみであった(表)。ただし,鶴見川は堰堤により既発生水域と隔離された水路での発生であった。生残魚はKHVに対する抵抗性を獲得した可能性が高く,一旦発生した水域は大規模な再発の可能性が低いと推察された。大量死発生と水温の関係について検討したところ,発生時期により水系を5月発生群と6月発生群に分けることが出来た。これら2群間の水温を比べると,6月発生群の4月の水温は5月発生群より低い傾向にあり,KHVの増殖可能温度の15℃に達していなかった。死亡発生時の水温はKHVの増殖可能温度と一致し,本病による死亡の始まりと水温との関連が示唆された(図)。

成果の活用面・留意点
水温15℃未満でコイの大量死が発生した場合,KHV病が原因ではないと考えられる。また,一旦KHV病による大量死が発生した水域は大量死を伴う再発はないと考えられるものの,生残コイはKHVキャリアーである可能性が高く,発生水域はコイの持ち出しを禁止するなど今後とも関係機関と協力してまん延防止に取り組む。


図表1 229904-1.pdf
カテゴリ 抵抗性

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