アカイカ類2種の資源量変動と海洋環境との関係

タイトル アカイカ類2種の資源量変動と海洋環境との関係
担当機関 外洋資源部
研究期間 2007~2007
研究担当者 一井太郎
稲掛伝三(遠洋水産研究所)
岡崎誠
酒井光夫
発行年度 2007
背景・ねらい
アカイカ類は単年生で、環境変動による資源量の年変動が大きく、また加入予測も難しいため、安定した原料の手当てが難しい。そのため、資源変動に応じてイカ資源と漁場を適切に選択するための資源動向の把握と予測が産業的に求められている。そこで、本研究では、アルゼンチンマツイカ(マツイカ)および北太平洋のアカイカ秋生れ群(アカイカ)について、資源水準を予測する手法を開発するために、資源変動を海洋環境との関係で把握することを目的とした。

成果の内容・特徴 マツイカについては、資源水準(日本船いか釣CPUEおよびアルゼンチン調査による加入量)が前年の産卵場周辺域の表面水温(SST)と高い相関を示した(図1)。すなわち、SSTが高いほど翌年の資源量が多くなる傾向があった。この相関式を用いて、リアルタイムな漁海況予測モデルの検証作業(既存のデータを用いて最新年の予測を行う)を行い、漁期の約半年以上前のSSTから翌年漁期の資源水準が予想できることを示した。
アカイカについては、1999~2002年の資源水準(調査流し網CPUE)の低下が、レジームシフトによる産卵場(亜熱帯前線域)の基礎生産力の低下と一致していた(図2)。これらの年には冬季のクロロフィル前線の南下傾向が弱く、産卵場が低生産域となってしまったことから、若齢期の餌環境の悪化が資源低下の要因と考えられた。冬季の同前線の位置はレジームシフトに対応して変動しており、数十年の長期的な資源変動の要因になっている可能性が示された。

成果の活用面・留意点
(1)マツイカについて、産卵場周辺域のSSTに基づく中期的(1年スケール)の加入量予測手法をほぼ完成させた。
(2)アカイカについては、冬季のクロロフィル前線の位置の変動から、次漁期の資源水準の動向がある程度予測可能となった。


図表1 229942-1.pdf
カテゴリ 亜熱帯

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