魚群性状別に見たカツオ竿釣り漁場と海洋環境の関係

タイトル 魚群性状別に見たカツオ竿釣り漁場と海洋環境の関係
担当機関 温帯性まぐろ研究部
研究期間 2007~2007
研究担当者 びんなが研究室)
齊藤宏和(かつお
発行年度 2007
背景・ねらい
 カツオの分布生態や索餌生態および漁業について研究が多く行われてきた中で、近年の衛星リモートセンシング技術の発達は、その観測時空間スケールから、漁場探索技術を飛躍的に向上させ新たな知見の充実に寄与してきた。これらの情報と経験則を組み合わせた漁獲海域の推定は可能になりつつあるが、資源評価や漁業経営上有効である来遊時期・海域・量・魚体の大きさといったより細かな要因の予測については、系統だったデータ収集が難しいために課題が多い。そこで本研究では、カツオ漁場形成に関わる海洋環境特性について、魚群性状別に漁場を分類しその詳細を明らかにすることを目的とした。

成果の内容・特徴  1996~2004年の5~10月のカツオ竿釣りデータ(無線漁況連絡)と人工衛星で計測された海洋環境データ(海面水温・クロロフィルa濃度・海面高度)を用い、魚群性状別に、カツオ漁場の空間分布特性と海洋環境特性について検討した。魚群性状別の海洋環境特性は、鮫付き群が高水温・低クロロフィルa濃度(mode=23.5ºC, 0.15mg/m3)を示し、餌持ち群・跳ね群は低水温・高クロロフィルa濃度(それぞれmode=20.8ºC,0.22 mg/m3および 19ºC,0.22mg/m3)を示した。また、0.2mg/m3クロロフィルa等値線で代表されるクロロフィルフロントを境に鮫付き群はフロントの南側に、餌持ち群と跳ね群は北側に分布する傾向が見られ、特に鮫付き群から推定したジンベエザメ分布については、水温等と比べてクロロフィルとの相関が強かった。魚群性状別の地衡流速は、鮫付き群の分布範囲が他群と比べると狭い流速範囲に分布する傾向にあった。

成果の活用面・留意点
漁業者が漁場探索を効率よく行うための指標として活用できる。これらの情報は、情報を提供いただいている各船主組合の総会等で順次報告する予定である。カツオの漁場予測を行う上では表面水温はなくてはならない重要な要素であるが、魚群性状によってはその特性がかなり異なることが示された。よって、現在進められつつある漁場予測を行ううえで、魚群性状を加味することにより推定精度の向上が期待できる。


図表1 229945-1.pdf
カテゴリ 環境データ 経営管理 リモートセンシング

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