高水温がバフンウニの生残に及ぼす影響および高水温対策

タイトル 高水温がバフンウニの生残に及ぼす影響および高水温対策
担当機関 福井県水産試験場
研究期間 2005~2006
研究担当者 畑中宏之
発行年度 2007
背景・ねらい
バフンウニは「越前うに」の原料として利用される重要な磯根資源であるが、近年はその漁獲量が減少傾向にある。これまでの漁場におけるバフンウニの生息状況調査から、夏から秋にかけての高水温期に斃死が確認されているが、その原因究明にまで至っていない。そこで、高水温条件下におけるバフンウニの生残状況、および安全に高水温期を過ごすための越夏対策を検討した。

成果の内容・特徴 25℃から30℃の一定水温飼育から、水温が高くなるに従い摂餌量が減少するとともに生残率が低下することを確認した(図1)。飼育試験後に、バフンウニ斃死の原因の1つと考えられる細菌(常在菌と思われる)培養液に浸漬したところ、30℃飼育区のほとんどの個体が斃死した(図2)。また、1日に5℃の水温変動負荷飼育では一定水温飼育よりも摂餌率が低下する傾向が認められ(図3)、細菌浸漬後は24-29℃区および25-30℃区は全滅した(図4)。従って、高水温あるいは高水温下の水温変化は、バフンウニに対し強いダメージを与え、抵抗力を著しく低下させることが示された。
バフンウニが生息する海域の水深0.5~1mの最高水温は31~32℃に達し、日較差は最大5.5℃であった(図5)。ウニの越夏飼育条件を検討するため海面垂下飼育試験を行い、水深1、3m区では全滅したが水深7m以深で平均90%以上の生残率を得た(図6)。生残が安定していた7m以深の水温は29℃以下で推移していた(図7)。水深3、5m水温の経時変化と生残状況をみると、僅かの水温差で生残が大きく異なることが明らかとなった(図8)。これらの結果から、バフンウニの越夏対策には、水温が極度に上昇・変動する浅海域から水温が低く安定する水深7m以深に避難させる海面垂下式飼育が有効であることが示された。

成果の活用面・留意点
浅海磯根資源が不安定となる要因の1つに夏期の高水温が考えられる。本研究により、バフンウニ資源の安定化に水温対策が効果的であると考えられ、このような高水温対策は他種への応用が可能と思われる。現場の水温等環境実態や該当生物の高水温耐性等特性の把握が重要である。


図表1 229967-1.pdf
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