アワビ・ウニ類の餌料対策について

タイトル アワビ・ウニ類の餌料対策について
担当機関 岩手県水産技術センター
研究期間 2004~2006
研究担当者 岩手県水産技術センター増養殖部 藤原孝行
発行年度 2007
背景・ねらい
 アワビ、ウニ類の主要餌料であるホソメコンブ、ワカメ等の大型海藻生育量の年変動は、アワビ、ウニ類の漁獲量に大きな影響をあたえることから、これら大型海藻を漁場に安定して生育させることが漁獲資源の維持増大には重要である。漁場からウニ類を除去して摂食圧を低下させ、海藻群落の造成に成功した事例が各地で報告されていことから、本研究では、岩手県におけるウニ類除去による海藻群落造成効果を把握し、アワビ、ウニ類漁場管理手法の確立を目的とした。

成果の内容・特徴 (1)ウニ類除去処理と効果の持続期間
 岩手県宮古市の田老地区大規模増殖場にウニ類を除去する区画(50m×50m)を設け、2004年12月に区画内のウニ類をダイバーが可能な限り除去した。除去した区画を処理区、除去しなかった処理区周辺を対照区とし、2006年7月まで定期的に潜水観察した。その結果、ウニ類の生息量からみた除去効果の持続期間は、浅場(離岸潜堤の岸側)で約10ヵ月、深場(離岸潜堤の沖側)で19ヵ月(試験期間)超であった(図1、図2)。
(2)ウニ類除去処理による大型海藻の群落形成効果
 上記の試験において、除去翌年(2005年6月)の大型海藻の生育状況は、処理区と対照区で大きく異なり、処理区ではワカメの濃密な群落を確認したのに対し、対照区ではワカメやケウルシグサの小規模な群落が点在するのみであった(図3)。以上のことから、ウニ類の密度管理が海藻群落の造成に大きな効果をもたらすことを実証できた。
(3)キタムラサキウニの生殖巣指数向上効果
 除去6ヵ月後の2005年6月は、浅場では処理区と対照区で大きな差は見られなかったが、深場では処理区の方が対照区より高い値であった(図4)。また、除去19ヵ月後の2006年7月は、浅場、深場ともに処理区の方が対照区よりも高い値であった。これらのことより、ウニ類除去処理はその大型海藻群落形成効果により、漁獲対象種でもあるキタムラサキウニの身入りの向上に対しても有効であると考えられた。

成果の活用面・留意点
 今後の実用化に向けては、漁業者自らが実施できる簡易的かつ低コストなウニ類除去方法や、除去したウニ類の有効活用方法などの検討が必要である。


図表1 229972-1.png
図表2 229972-2.png
図表3 229972-3.png
図表4 229972-4.png
カテゴリ 低コスト

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