タイトル | 宮古魚市場に水揚げされた沿岸性メバル属魚類の年及び季節変動 |
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担当機関 | 宮古栽培漁業センター |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
野田 勉 |
発行年度 | 2007 |
背景・ねらい | 栽培漁業を実施するには対象種の漁獲実態や資源特性の把握が不可欠であるが,クロソイをはじめとした沿岸性メバル属魚類は,外見が類似しているためソイ類として市場に水揚げされ,魚種ごとの漁獲データーが収集されていないことが多い。そこで,宮古栽培漁業センターでは,宮古魚市場に水揚げされる沿岸性のメバル属魚類を市場開催の全日・全数調査した。得られた種組成および尾数から各魚種の経年,季節変動を集計し,それぞれの生態的特性と変動要因について考察した。 |
成果の内容・特徴 | 1989年から1996年の7年間に宮古魚市場に水揚げされたソイ類について調査を行った。その結果,漁獲量順にムラソイ,キツネメバル,クロソイ,ウスメバル,メバル,エゾメバル,ヨロイメバル,タケノコメバル,ゴマソイの9種類が水揚げされており,その年平均数量は前4種が3,500~10,000尾前後,後5種は20~1,300尾であった。宮古魚市場のソイ類は,ムラソイ,キツネメバル,クロソイ,ウスメバルで全体の94.4%を占め,おおむねこれらの魚種で構成されていた(図1)。 月別の漁獲状況は,2月(14.6%)と10月(12.6%)が多くなり,前者はキツネメバルとムラソイの,後者はムラソイとクロソイ,ウスメバルの増加が主な原因であった。また,7年間の水揚げ尾数の変動は,ムラソイ,クロソイ,メバル,ヨロイメバルはピークが1つの単峰型を,キツネメバル,ウスメバル,エゾメバルはU字を呈する双曲型を示し,タケノコメバルはアマモ場の減少と共に急減した(図2)。宮古魚市場に水揚げされるソイ類は極めて少ないゴマソイを除いて暖水性種,冷水性種,藻場依存種に区分が可能で,それぞれが上記の漁獲状況のパターン分けに合致した。 |
成果の活用面・留意点 | ・不明であった宮古湾周辺海域のソイ類の年別,季節別漁獲状況が把握できる。・栽培漁業を行う上での基礎資料や市場調査を実施する上での重要な生態的知見として本データーは有用である。・今後は周辺海域の物理,生物環境等との関連を精査し,他の魚種についてもその変動要因の主因を推察する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 季節変動 たけのこ |