タイトル | ヒラメの遺伝子地図作製ツール(放射線雑種細胞)の開発 |
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担当機関 | 生産技術部 |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
岡本裕之 |
発行年度 | 2007 |
背景・ねらい | 養殖対象魚の多くは生活史が数年と長いため、短時間で効率的な選抜育種技術の開発が強く望まれている。国内外で非発現DNAマーカーを指標とした育種法の有効性が明らかとなりつつあるが、一方で非発現DNAマーカーは極めて近い系統や集団以外に利用できないという欠点がある。もし対象種の多い水産分野において、魚種を越えて利用できる優良形質マーカーが開発できれば、水産育種分野が飛躍的に発展することが期待できる。そのような優良形質マーカーを開発する際に手がかりとなるのが、その優良形質の責任遺伝子を見つけだすことであるが、この困難な作業を行うためには、すでに全塩基配列が決定されている実験魚との間でその発現遺伝子地図同士を比較することが有効である。そこで本研究では、ヒラメの発現遺伝子地図を高速かつ簡便に作製できるツールである放射線雑種細胞の作製を行った。 |
成果の内容・特徴 | ヒラメの培養細胞とほ乳類(マウス)の培養細胞との間で、放射線雑種細胞の作製を行った。 1. まず2種のヒラメの培養細胞(HINAE、YO-K)に、細胞選別に用いる薬剤(G418)に対する耐性遺伝子を導入した。 2. 薬剤耐性遺伝子を導入した2種のヒラメの培養細胞に、30、50、80Gyの放射線を照射してそれぞれの細胞の染色体を物理的にランダムに切断した。 3. 放射線照射したヒラメの培養細胞それぞれとマウスの培養細胞(B78)を細胞融合させ、ヒラメーマウスの放射線雑種細胞を作出した。 4. 作出した放射線雑種細胞から、実際にヒラメの染色体に特有のマイクロサテライト配列をPCRで増幅することができた。 |
成果の活用面・留意点 | 作出したおよそ300のヒラメーマウス放射線雑種細胞から、ヒラメの染色体をより多く含む93個の雑種細胞クローンを選抜し、各クローンのDNAを96 wellのプレートに整列化することによって、マイクロサテライト等の単純反復配列や多型を持たない発現遺伝子の配列等、簡便に遺伝子地図を作製できるシステムの構築ができる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育種 DNAマーカー 薬剤 薬剤耐性 |