ブリ人工種苗を2年間養成した親魚からの12月採卵に成功

タイトル ブリ人工種苗を2年間養成した親魚からの12月採卵に成功
担当機関 五島栽培漁業センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 浜田和久
堀田卓朗
発行年度 2007
背景・ねらい
ブリ類は我が国の魚類養殖生産量の半分以上を占める重要な対象種である。しかし、ブリ養殖の基となる種苗は天然稚魚(モジャコ)に依存し、計画的な確保が不安定なため、養殖業界からは人工種苗生産に関する技術の開発が望まれている。五島栽培漁業センターでは、天然魚を養成した親魚(満3歳以上)を用いて早期採卵試験に取り組み、得られた人工種苗は同時期のモジャコより大きく、出荷までの飼育日数が短縮できることを明らかにしている。本研究では12月採卵により得られたブリ人工種苗(2歳魚)の12月採卵の可能性について検討した。

成果の内容・特徴 早期採卵試験で得られた卵由来の人工種苗を2年間養成した親魚(平均尾叉長55cm、平均体重3.8kg)を試験に用いた。試験は、環境制御を行わない対照区とこれまでの早期採卵と同様に短日処理(8L16D)と長日処理(18L6D)を組み合わせた日長制御および最低水温を19℃に維持する水温制御区を設定した。
 成熟調査の結果、対照区では卵巣卵径の増大は認められなかったが、試験区では、HCG注射により採卵が可能とされる卵巣卵径700μm以上に達する個体が7尾中6尾(85.6%)認められ、飼育環境条件を制御することにより成熟が促進されることが判明した(図1)。
HCG注射により産卵を誘発した結果、227.3万粒が採卵でき、受精率やふ化率などの産卵成績および得られた仔魚のSAIや初期生残率等の卵質においても天然養成親魚とほぼ同等な結果が得られた(表1)。
 これらの結果から人工養成親魚(満2歳魚)でも12月採卵が可能であることが明らかになった。

成果の活用面・留意点
・採卵用の親魚に養成するまで期間がこれまでの3年から2年に短縮でき、親魚養成に関わるコストの削減が期待できる。
・ブリ親魚の成熟促進あるいは産卵制御に関する技術は、カンパチ等の有用な魚類養殖対象種に応用が可能と考えられる。


図表1 230009-1.pdf
カテゴリ 環境制御 コスト 出荷調整

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