ババガレイの鮮度保持技術 

タイトル ババガレイの鮮度保持技術 
担当機関 北海道立釧路水産試験場
研究期間 2006~2007
研究担当者 金子 博実
釧路水産試験場 加工部 信太 茂春
佐藤 暁之
辻 浩司
野俣 洋
発行年度 2007
背景・ねらい
 ババガレイは、主に関東以北で煮付けや唐揚げなどで賞味されており、特に東北地方では「なめたがれい」と呼ばれ、年越しや正月の料理用として珍重されている。
釧路地域での漁獲量は1970年代に激減したが、近年、年間200~500tまで回復した。この地域の3つの漁協では「釧路産なめたがれい」のブランドの定着と刺身などの高鮮度食材化による消費拡大に取組んでいる。そこで、ババガレイの販路並びに需要拡大を支援するため、客観的な指標を用いて鮮度保持条件を検討した。

成果の内容・特徴 (1)水揚げ時の鮮度について、船上での施氷の有無による差を検証した結果、K値に明確な差はみられなかった(図1)。しかし、水揚げ後の鮮度は、保管温度により大きな差がみられた(図2)。釧路地域では主に12~1月の外気温が低い時期に漁獲されることから、鮮度保持には船上での施氷よりも水揚げ後の温度管理が重要であることを明らかにした。
(2)活魚として水揚げされたババガレイを氷〆(海水-氷中で自然死)と活〆(脱血・即殺)処理し、施氷貯蔵中のK値の変化を比較した。いずれも貯蔵3日目までのK値は10%以下であったが、貯蔵2~3日目のK値は、活〆処理の方が低い傾向がみられた(図3)。また、色調についても活〆処理したフィレーの方が白く、透明感があり(写真)、高鮮度食材として優れた品質であることを明らかにした。
(3)ババガレイの鮮度が旨味に及ぼす影響を把握するため、K値と魚肉の旨味成分の一つであるイノシン酸量の関係について検討した。ババガレイ筋肉中のイノシン酸量は、K値が約10%までは増加し、それ以降はK値の上昇に伴って減少することから、ババガレイの美味しさは鮮度に影響されることが示唆された(図4)。

成果の活用面・留意点
 本研究の成果は、釧路地域の漁協においてババガレイの生鮮出荷方法として活用されている。また、「生鮮水産物鮮度保持マニュアル(北海道水産林務部 H19年3月発行)」に掲載され、北海道内の漁協等に配付されており、今後、さらに成果の普及が期待される。


図表1 230030-1.pdf
カテゴリ 温度管理 出荷調整 需要拡大 消費拡大 鮮度保持技術

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