タイトル | ミズカビ増殖抑制効果を持つ素材の探索 |
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担当機関 | 静岡県水産技術研究所 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
青島秀治 中山武典 中村永介 渡辺清 |
発行年度 | 2007 |
背景・ねらい | サケ科魚類の種苗生産ではミズカビによる被害が大きく、その対策として薬剤の使用が不可欠であるが、承認されているブロノポール製剤は3,333倍に希釈した後に廃棄する必要があるなど使用には制限がある。そこで、ミズカビ防除対策の一環として、(株)神戸製鋼所が開発したニッケル系抗菌めっき素材「ケニファイン」のニジマス卵管理におけるミズカビ防除効果を検討した。なお、ケニファインは既に厨房や医療現場等で使用されており、その有効性については極微量のニッケルイオンの溶出による抗菌作用が実証されている。 |
成果の内容・特徴 | 1.ケニファインめっき金属板を入れた培地ではミズカビ(Saprolegrina diclina)菌糸の増殖がみられなかったが、これを新しい培地に殖菌すると増殖したことから、静菌効果があることが明らかとなった(図1)。 2.ケニファインめっき金属板をニジマス受精卵と同一容器に入れ、ふ化までの35日間管理したところ、発眼率・ふ化率に異常がなかったことから、発生への影響はないものと判断された(図2)。 3.ケニファインめっき金網を使用したふ化盆でニジマス受精卵をふ化まで管理したところ、ミズカビの発生率は無処理の金網と比較して約1/2となり、発眼率、ふ化率も上回った(図3,4)。 4.民間養鱒場の種卵生産にケニファインめっき金網を使用した結果、事業規模でも有効であり、金網を張るだけで繰り返し使用できることから非常に簡便であるなど良好な評価を得た。 |
成果の活用面・留意点 | 1.ケニファイン器材消毒に塩素系の消毒剤を使用すると、めっきされた金属表面が酸化され、抗菌力が低下する。ケニファイン器材の消毒手段としては、水産用イソジンや逆性石鹸が適している。 2.ケニファイン金網は卵と接触していないとミズカビ防除効果がほとんど得られないため、卵収容容器の形状に留意する必要がある。 |
カテゴリ | 病害虫 防除 薬剤 |