タイラギ斃死と殻形状の変化について

タイトル タイラギ斃死と殻形状の変化について
担当機関 福岡県水産海洋技術センター
研究期間 2004~2006
研究担当者 伊藤 輝昭
吉田 幹英(有明海研究所 資源増殖課) 松井 繁明(研究部 海洋環境課)
発行年度 2007
背景・ねらい
 有明海の潜水器漁業によるタイラギの漁獲は、非常に低水準で推移しており、近年では多くの年で操業を見合わせている状況が続いている。タイラギ資源減少の理由として、夏季における「立ち枯れ」と呼ばれる大量斃死が挙げられているが、何故立ち枯れが発生するかは現在の所解明されていない。
 本研究では「立ち枯れ」を起こすタイラギの内的要因に着目し、斃死原因の究明、資源量の増大をはかる資料とすることを目的として、タイラギの生残及び殻形状について調査を実施した。

成果の内容・特徴 ・タイラギの殻長(SL)と殻高(SH)の比(図1)は漁場によって異なり、斃死が起きる漁場のタイラギはSL/SH比が大きく細長い形状を示すのに対して、斃死が起こらない漁場のタイラギはSL/SH比が小さく、幅が広い形状を示すことが明らかになった。
・両漁場のタイラギとも成長に伴いSL/SH比は徐々に減少する(幅が広くなる)傾向が認められた(図2)。
・斃死漁場における斃死個体と生残個体の平均殻長を比較すると斃死貝で有意に大きかった(図3)。
・同様に斃死漁場における斃死個体と生残個体のSL/SH比を比較すると、斃死貝で有意に大きく、細長い形状であった(図4)。
・斃死漁場では大型個体から斃死する傾向が認められ、その結果生残個体の平均殻長が抑えられていると考えられる。

成果の活用面・留意点
・斃死が起こらない漁場では、大型貝であっても生残している。しかしその殻長、殻高の比は斃死漁場に比べて有意に小さく、幅が広い形状である。このことから、その漁場における斃死しやすさ、資源としての不安定さを示す指標として、SL/SH比を用いることが可能と考えられる。
・生息環境とSL/SH比との関係については今後の調査研究課題である。


図表1 230066-1.pdf
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