タイトル | 鹿児島湾における藻場の変化とその特異性 |
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担当機関 | 鹿児島県水産技術開発センター |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
田中敏博 |
発行年度 | 2007 |
背景・ねらい | 鹿児島湾において藻場の現状と変化を明らかにし,藻場の保全や回復活動における基礎データとする。 |
成果の内容・特徴 | ガラモ場については,総藻場面積283.6ha出現種数18種であった。これは,1978年調査(466.0ha)の61%,1996年調査(322.8ha)の88%であり,1978年から2006年の間に39%約182haのガラモ場が減少したこととなる。藻場消失箇所のうち('78→'06で比較),埋め立て等-15.3ha,磯焼け状態-100.1ha,砂の堆積により基質が埋没-90.2haであり,磯焼けや土砂の流入によってガラモ場が大きく消失したことが伺える。一方,藻場が消失した箇所のうち10ha以上の大規模消失地6箇所の計は177ha('78→'06)とその消失寄与率は86%であり,ガラモ場の減少傾向は特定の大規模藻場の消失に起因するもので,本湾の多くのガラモ場が全て減少傾向にあるとは考えられず,海域によっては増加傾向を示しているところもある。アマモ場については総藻場面積37.9haであった。これは,1978年調査(186.2ha)の20%,1996年調査(7.93ha)の478%,2004年(73.3ha)の52%であり,1978年当時と比較すると80%約148haのアマモ場が減少したこととなる。藻場消失箇所のうち'78→'06の比較では,埋め立て-12.2ha,砂の堆積-13.4ha,その他不明-91.3haであり,'04→'06の比較では,埋め立て0ha,砂の堆積-8.2ha,台風等-34.9haであった。一部埋め立ての影響を除いては,砂の堆積や台風による藻場消失が顕著であった。具体的には,2004年に襲来した大型台風の影響で隼人,国分沖(現霧島市)のアマモ場が壊滅し,2005年には豪雨による土砂流入で垂水市沿岸のアマモ場が壊滅したことなどに代表される。本湾のアマモ場は,1年生であることからこのような環境変動の影響を受けやすく,不安定な藻場であることが推測される。本湾の藻場の特徴として(ガラモ場の場合),湾奥部では2~3種による大規模な藻場が形成され,湾央から湾口部へかけては,多様な種による小規模な藻場形成であった。近年増加している熱帯・亜熱帯性ホンダワラが多く見られるのも湾口から湾央海域であった。 |
成果の活用面・留意点 | 自然災害による藻場消失に備えた保全藻場の必要性が考えられるほか,災害により消失した藻場の回復策を考えていかなければならない。 また,このような調査の場合,同一手法による調査を行うことで経年比較ができるので,調査手法の確立と継続が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 亜熱帯 |