タイトル | クロマグロは20年以上生きる |
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担当機関 | 温帯性まぐろ資源部 |
研究期間 | 2006~2008 |
研究担当者 |
田邉智唯(遠洋水産研究所温帯性まぐろ資源部生物特性研究室) |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | クロマグロの資源状態を評価し,適切な管理方策を設定するには,年齢と成長をはじめとした生物学的特性を正確に把握する必要がある。しかしながら,クロマグロでは大型個体に利用できる年齢査定形質の検証が不完全であったため,正確な成長を推定できなかった。そこで本研究では,ミナミマグロの年齢査定方法にならって,耳石薄片を用いたクロマグロの年齢査定を試みた。その手法に基づいてクロマグロの成長過程を把握することにより,太平洋における本種の資源生態の解明とともに,今後の資源管理に資することを目指した。 |
成果の内容・特徴 | ・大型個体の耳石薄片には,多くの明瞭な透明帯と不透明帯が確認できた(図1)。 ・耳石の不透明帯が耳石縁辺に出現する個体数の割合は,4~7月に高く,他の月に低かったことから,不透明帯は年1回形成される年輪であると考えられた(図2)。 ・年輪数からクロマグロの成長を推定した結果,クロマグロは,5年で160cm,10年で210cm,15年で230cm,20年で240cm に達することが明らかになった(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | ・クロマグロの10歳以降,200cm以上の年齢と成長が初めて推定され,本種が20年以上生きることが明らかになった。 ・10歳までの成長速度は,過去の研究とほぼ一致しており,年齢査定の信頼度も高いと推測された。 ・クロマグロでも他魚種同様に耳石による年齢査定が可能であり,今後の年齢査定は耳石薄片を用いて行うべきであると考えられた。 |
図表1 | 230075-1.pdf |
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