タイトル | 青森県産ウスメバルにかかる産地流通構造と消費地市場における評価 |
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担当機関 | 青森県水産総合研究センター |
研究期間 | 2006~2006 |
研究担当者 |
白板孝朗 廣田将仁 |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | 本県産ウスメバルはこれまで高い評価を得てきたが、その流通経路や消費地市場での評価実態は明らかではなく、品質評価の維持・向上を図るに際し、明確な判断基準が得られていなかった。このことから基礎情報の確認として消費地市場における評価の実態と流通構造の特性を整理することとした。 |
成果の内容・特徴 | 1.本県産ウスメバルは、築地市場および金沢市場で高いシェアを維持し(表1)、特に築地市場における価格と本県産当該魚種の入荷量に高い相関性があることが確認された(図1)。 2.築地市場と本県の産地市場におけるウスメバルの価格について相関を見ると、築地市場の高値と青森県の“小”規格の産地価格に相関が観察され、最も評価の高い規格を占めていることが推測された(図2)。 3.AHP分析を行ったところ、体表面の諸要素が特に高い値を示したことから、流通の行程において魚体の解体を想定せず、生食を想定しない加熱食材であるという評価が改めて明らかになった(図3)。 4.AHP分析において体表-光沢度・傷害程度の要素が重視され、市場では身質を吟味するよりも箱内容を一見で評価するものと考えられた。また、品質評価の他に、1箱当たりの入尾数標記が強く求められており、サイズのバラツキが取引ロスを生じさせ、流通上、忌避されることも明らかになった。 5.当初、鮮度保持による肉質・色彩改善が評価向上に繋がると想定されたが、実際に価格影響する要素は規格や体表面の状態、入尾数によるところが大きく、高品質化→評価向上という考えは成り立たないことが明らかになった。 |
成果の活用面・留意点 | これまで鮮魚の評価向上は鮮度保持技術などに期待されてきたが、流通段階では規格や内容数標記、傷害程度などの要素が重視されていることが判明した。従来の操業形態の上に鮮度保持などの付加作業が発生すれば漁業者間のコンセンサスは得にくくなるが、上記要素の改善に関しては付加作業が軽微であり漁業者間の調整も行われやすくなる。本県では、消費地市場の要求に沿った取り扱い基準を漁業者と産地流通業者が一体となって申し合わせることとなり、取り組みをすすめている。 |
図表1 | 230108-1.pdf |
カテゴリ | 鮮度保持技術 |