有害・有毒プランクトンも水産生物と一緒に運ばれる

タイトル 有害・有毒プランクトンも水産生物と一緒に運ばれる
担当機関 赤潮環境部
研究期間 2006~2007
研究担当者 松山幸彦
発行年度 2008
背景・ねらい
有毒プランクトンの人為的拡大については船舶のバラスト水が知られている。魚病の分野などでは、水産生物を介した微生物の伝搬(水平感染)が従前より問題となっている。そこで、水産種苗や養殖魚介類の移送の現場においてモニタリングを行い、これら人為的活動による有毒プランクトンの海域間移送の実態について調査した。
成果の内容・特徴 1.マガキ種苗による有毒プランクトンの移送 北日本のA海域から西日本のB海域まで、マガキ生産者によって総移動距離1,280kmを2昼夜かけて輸送されてきた種苗(1)2006年3月、2)2007年4月)、3)2006年5月にB海域から隣県のC海域への出荷されたマガキ種苗について有毒プランクトン等の検出を試みた。いずれの調査でも、生きた有毒プランクトンアレキサンドリウム タマレンセを検出した(図1、2)。細胞数は、1コレクター(1枚のホタテガイの殻にマガキ稚貝が付着したもの)あたり1)27.1細胞、2)762細胞、3)1,608細胞となった(表1)。移送元の現場海域の細胞密度と輸送されるコレクターあたりの細胞数から換算すると、A海域からB海域まで移送される海水量は年間数千トン以上と算出された。
2.活魚運搬車による養殖魚介類の海域間輸送の実態把握 西日本のB海域に隣接する中央卸売市場において、活魚輸送車中の海水を事業者の了承の上で採取して有害・有毒プランクトン等の検出を試みた。全38試料(13県)のうち、25試料からプランクトンを検出した(図3)。活魚輸送車は産地から市場へと毎日のように海域間をあるいは産地と都市をネットワーク状に移動している。国内で活魚運搬車によって海域間を輸送されている海水量の試算は困難であるが、少なくとも西日本のB海域に隣接した市場に持ち込まれる海水の量は年間数万トンに達すると算出された。
成果の活用面・留意点
現在世界動物保健機構(OIE)でリストアップされている病原微生物については水産生物の移送が制限されるものの、有害・有毒プランクトンについては全く人為的移送について想定されていない。行政や産業界の協力でこれらのプランクトンの人為的分布拡大について防止する枠組みを構築する必要がある。

図表1 230118-1.pdf
カテゴリ 出荷調整 ばら モニタリング 輸送

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