タイトル | 東シナ海における植物プランクトン現存量の制限要因の解析 |
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担当機関 | 東シナ海海洋環境部 |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
西内耕 長谷川徹 |
発行年度 | 2008 |
背景・ねらい | 植物プランクトンによる一次生産は海洋における炭素循環の主要な駆動力であるため、植物プランクトンの現存量の制限要因に関する知見は海洋だけでなく地球規模での炭素循環を理解する上でも欠くことが出来ない。 そこで、河川等を通じて陸起源の栄養塩類の流入があるため高い一次生産が期待される東シナ海をモデル海域として、植物プランクトンの現存量の制限要因について希釈法を用いて解析した。 |
成果の内容・特徴 | 1)希釈法は2007年4、6、7、10月に西海区水産研究所の観測定線であるCK - line上の観測点2~3点において実施した(図1)。Chl.a濃度は0.1~0.89μg/Lの範囲で変動し4月に植物プランクトンの現存量が高いことが示された(図2)。また、Chl.aサイズ組成からCK5、11では常に2μm以下の小型植物プランクトンが優占していたことが示された(図3)。 2)植物プランクトンの成長速度と微小動物プランクトンによる植物プランクトンへの摂餌速度を比較すると10例中9例で摂餌速度が成長速度を上回った(図4)。これにより、多くの場合植物プランクトンの現存量が摂餌により抑制されていることが明らかとなった。 3)栄養塩添加条件下および無添加での植物プランクトンの成長速度を比較すると、10例中7例で大きな差を示した(図4)これは栄養塩の不足が植物プランクトンの成長を抑制していることを示すものである。 4)調査期間中、東シナ海域の植物プランクトンの現存量は栄養塩類の供給および微小動物プランクトンの摂餌の両面から制限される場合が多かった。また、他の海域における研究例と比較すると、東シナ海では微小動物プランクトンの摂餌による植物プランクトン現存量の抑制が強めであることが示された。 |
成果の活用面・留意点 | 希釈法により植物プランクトンの現存量の制限要因が明らかとなった。しかしながら、制限要因の解析は各観測点でそれぞれ3~4回である。さらに解析を重ねることで制限要因の季節変動の詳細・さらには年変動が明らかになるものと考えられる。 |
図表1 | 230201-1.pdf |
カテゴリ | 季節変動 炭素循環 |