タイトル |
リンゴの果実品質(特に各種糖類及びアスコルビン酸)と環境要因 |
担当機関 |
秋田県果樹試験場 |
研究期間 |
1992~1993 |
研究担当者 |
近藤 悟
鈴木栄司
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発行年度 |
1992 |
要約 |
加工用リンゴ果実の栽培管理で、遮光処理、果実への袋掛け、摘葉、過着果処理は、リンゴ`千秋'果実の糖含量、特にスクロース含量を大きく減少させ、またアスコルビン酸含量も減少させた。
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背景・ねらい |
糖及び有機酸含量は果汁の品質を決定する重要な要素であるが、現在加工用として用い られている果実の品質は必ずしも満足すべきものではない。そのため、果汁品質が良好 であり搾汁率など加工適応性に優れ、さらに栽培面積が比較的に多い`千秋'果実につき、 成育中の環境要因と各種糖類及びアスコルビン酸との関係を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 光環境との関係
遮光処理区、袋掛け処理区とも対照区に比べ、グルコース、フルクトース、スクロース 含量が減少した。特に遮光処理区ではスクロース含量の低下が著しく、全糖含量も大きく 減少した(表1)。果実中のアスコルビン酸含量に関して は、果肉ではアスコルビン酸の52~72%、果皮では72~84%が還元型であった (表2)。
- 摘葉処理・着果量との関係
摘葉処理を行った区(収穫前15日に果そう葉の80%、新梢葉の50%を摘葉)では全糖含量が 大きく減少し、スクロース含量の低下が著しかった。アスコルビン酸含量値は、同程度 に着色した果実との比較では、果肉・果皮とも摘葉処理区で低下した。過着果区(葉果比 10、対照区は葉果比50)ではフルクトース、スクロース含量が大きく減少し、糖酸比に ついても着色の劣る果実で低下する傾向を示した (表3、4)。
- 以上、遮光処理・過着果処理によって糖酸比は明らかに低下したが、これらの処理下でも
着色の良好な果実ほどその値が慣行栽培区に近い値となったことから、過着果等による 糖含量の低下は免れないものの、これらの条件下でも、より高品質果汁の生産にあたっては、成熟期に果実への光環境を良好にしてやることが重要である。
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成果の活用面・留意点 |
加工用果実の栽培体系検討の参考とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
加工
栽培技術
栽培体系
りんご
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