摘果後の果柄から感染するリンゴ腐らん病とその防除対策

タイトル 摘果後の果柄から感染するリンゴ腐らん病とその防除対策
担当機関 青森県りんご試験場
研究期間 1992~1993
研究担当者 加藤 正
雪田金助
発行年度 1992
要約 果台を発病部位とする腐らん病は摘果後の果柄の切口に感染した病原菌によって引き起こされる。果柄に感染した病原菌は20~30日後に果台へ侵入するが、発病は翌年の春となる。「ふじ」の場合、摘果時期が遅くなると果台に残された果柄が落ち難くなるため、果台の発病を生じやすい。この果柄感染は薬剤散布で防止できる。
背景・ねらい 近年、「ふじ」を中心に果台を発病部位とする腐らん病(枝腐らん)の発生が目立つように
なり、その要因解明と防除対策の確立が求められている。果台に対する病原菌の感染時期
として収穫期及びそれ以降が重要視されきたが、実態調査によって摘果期に感染している
例も極めて多いことが明らかになった。そこで、摘果期における病原菌の感染部位、
発病時期、品種間差異及び防除対策などを検討した。
成果の内容・特徴
  1. 病原菌は手作業による摘果で果台に残された果柄(果梗)の切口に感染し、それによって
    果台の発病が引き起こされた(図1)。この場合、
    翌年の春になることが多い。
  2. 摘果後の果柄に感染した病原菌は20~30日間を要して果台に侵入した
    (図2)。
  3. 摘果後の果柄は時間の経過とともに果台と果柄間に形成される離層の部分から自然に
    脱落する。このため、たとえ摘果後の果柄に感染しても、その病原菌が果台に侵入する前
    に果柄が脱落すれば果台は発病しない。「ふじ」の場合、6月3日(落花18日後)以降に摘果
    すると、その果柄は摘果30日後が経過してもほとんどが脱落しないため
    (図3)、果台の発病が生じやすかった。一方、
    「つがる」及び「スターキングデリシャス」では摘果時期に関係なく、摘果10~20日後
    までにほとんどの果柄が脱落したため(第3図)、
    果台の発病が回避された。
  4. 薬剤による摘果後の感染防止効果を検討したところ、チオファネートメチル水和剤
    1,500倍及びベノミル水和剤3,000倍の防除効果が高かった
    (表1)。
成果の活用面・留意点 摘果後の果柄が果台から自然に脱落し難い「ふじ」では、摘果期の感染に十分注意する。
摘果時期が早ければ、たとえ摘果後の果柄に感染しても、その病原菌が果台に侵入する前
に果柄が脱落するので、摘果剤(石灰硫黄合剤)や摘果剤(NAC剤)を活用してできるだけ
早めに摘果する。「ふじ」の場合、摘果後の果柄が脱落し難くなるのは概ね落花10後以降
であるため、チオファネートメチル水和剤又はベノミル水和剤の散布は落花20日後頃が
最も適当である。この時期の散布はうどんこ病の防除にも有効である。
図表1 230318-1.gif
図表2 230318-2.gif
図表3 230318-3.gif
図表4 230318-4.gif
カテゴリ 病害虫 うどんこ病 品種 防除 薬剤 りんご

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