収穫後の貯蔵温度がニホンナシ輪紋病の発病に及ぼす影響

タイトル 収穫後の貯蔵温度がニホンナシ輪紋病の発病に及ぼす影響
担当機関 福島県果樹試験場
研究期間 1991~1993
研究担当者 伊藤恵造
尾形 正
落合政文
発行年度 1992
要約 ニホンナシ輪紋病は、収穫後の貯蔵中に発病することが多く難防除病害であるが、本病に感染している果実であっても、貯蔵温度を0~4度Cに設定することにより発病を抑制できる。
背景・ねらい 本県ナシの主力品種である「幸水」「豊水」を無袋栽培で諸外国へ輸出するための技術
を確立する試験を行っている。検疫対象病害の中でも、輪紋病は感染してから発病
するまでの潜伏期間が長く、収穫後の貯蔵中に発病することもあり難防除病害の一つで
ある。そこで、収穫後の貯蔵温度の違いが輪紋病の発病にどのような影響を及ぼすかを
調査し、発病抑制対策について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 生育期間中、殺菌剤無散布(6月27日から8月13日までリンゴいぼ皮病罹病枝を樹上に
    設置)で管理した「幸水」から、収穫時に外観健全な果実を選び0度C、4度C、10度C、
    25度Cに設定した恒温器に貯蔵し、定期的に発病の有無を調査した。
  2. 25度C貯蔵では、収穫7日後より発病が認められ、14日後では51.6%の果実に発病が
    認められた。10度C貯蔵では、収穫14日後まで発病は認められなかったが、21日後に
    3.1%、28日後に6.1%の発病が認められた。0度Cおよび4度C貯蔵では、収穫28日後まで
    発病は認められなかった(表1)。
  3. 果肉硬度の変化は、0度Cおよび4度C貯蔵では収穫28日後までほとんど変化なく良好で
    あった。10度C貯蔵では、収穫11日後まで良好であった。25度C貯蔵では、収穫11日後
    以降急激に低下した(表2)。
  4. 以上のように、ナシ輪紋病の発病抑制効果と果実品質の関係から、収穫果の貯蔵温度は
    0度C~4度Cが良いと判断された。
成果の活用面・留意点 果実が感染していても0度C~4度Cで貯蔵している期間は発病が抑えられ、果実品質も良好に保たれるので、生育期間の防除の補助的な対策として有効であるが、貯蔵温度が高く
なれば発病する可能性があるので注意が必要である。
図表1 230319-1.gif
図表2 230319-2.gif
カテゴリ 病害虫 品種 防除 輸出 りんご

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