タイトル |
水田作業シミュレーション・システム |
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研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1993 |
要約 |
水田圃場で作業機械による各種の作業を行う場合、圃場の分散状況及び圃場形状が作業時間・作業効率におよぼす影響を分析するためのシミュレーション・システムを作成するとともに、実際の農家圃場を対象として作業時間のシミュレーションを行った。
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背景・ねらい |
中核農家等は受委託等による農地の流動化によって、経営規模を拡大させてきた。 しかし、規模の拡大に伴い農地は分散傾向を強め、基盤整備の進捗状況と合わせて、 圃場の分散及び区画形状が規模拡大を妨げる制約条件となっている。そのため圃場の 分散状況及び圃場形状が作業時間・作業効率におよぼす影響を分析するための シミュレーション・システムを作成した。このシステムの狙いは、農家等の圃場及び 作業条件において、耕起・田植・収穫作業等の作業機械を使用した場合の作業時間 (圃場内・圃場外)を計算するとともに、圃場が団地化・大区画化された場合の作業時間 ・効率の事前評価を行う。また、一種の作業モデルとして、圃場の形状(長辺/短辺)、 圃場の面積(小~大区画)、団地圃場と分散圃場等のさまざまな作業条件のもとで、 作業効率の比較検討を行うことである。
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成果の内容・特徴 |
- システムの概要
A) 圃場の任意配置による作業シミュレーション・プログラム
操作手順(操作環境:マウスと疑似Windowsによる操作性の向上
a) 圃場を配置する全体の領域を設定する。 b) 1筆の長辺・短辺と1団地の枚数を設定して、マウスで画面に圃場位置を指定する。 c) 圃場作業の計算用パラメータを設定し、作業時間を計算する。
作業時間の計算(図1)
作業別の計算式・圃場形状・分散状況・その他パラメータから計算
圃場内作業時間:作業別の公式を使用(耕起、代掻き、田植、防除、収穫等) 圃場外作業時間:作業舎での作業時間、機械の整備時間、隣接圃場及び団地間の 移動時間とインターバル、作業舎と圃場の移動速度(朝・夕と昼)
パラメータの設定:各種作業に伴う圃場内外の計算用のパラメータ (表1 田植作業) 園場巡回ルート :OR「巡回セールスマン」の手法から団地間の最短ルートを決定 圃場を配置する領域
領域の範囲 → 東西1276~7656m南北756m~68044m
データの保存:シーケンシャル・ファイル(座標データ、描画範囲等)
B) 圃場の乱数配置による作業シミュレーション・プログラム(Aと重複部分は省略)
a) 圃場を分散させる条件を設定する。
設定条件 :全圃場面積、圃場の長短辺、団地の最大・最小面積、東西南北の領域
b) 設定領域に圃場を分散配置する(1団地につき1~複数圃場)。 c) 圃場作業の計算用パラメータを設定し、作業時間を計算する。
C) 開発言語:Quick Basic v4.5、Quick Screen v3.1
- シミュレーション結果
表2は16haの水田を経営するA農家の田植作業の シミュレーション結果である(分散圃場のno1がA農家の圃場条件)。 全圃場の作業時間は97.1時間、10a当たり作業時間は36.4分であった。全体の圃場面積 を同一にして、1筆の圃場面積を拡大きせた場合、no1=100とした場合のno5の作業時間 は、分散圃場では65.7%、団地圃場では71.9%まで省力化されると見られる。また 分散圃場と団地圃場の比較では、全作業時間は89%~98%、圃場外作業時間は 72%~98%、延べ移動距離は59%~69%まで、団地化されたことにより省力効果が 生じると考えられる。
図2 田植作業のシミュレーション結果 図3 圃場作業シミュレーション・プログラムの 操作画面
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成果の活用面・留意点 |
圃場内作業時間は、長方形の圃場を対象としており不整形の圃場は計算できない。 また、自宅及び団地間を作業機械が移動する場合、複雑な移動経路には対応が困難 である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
規模拡大
経営管理
省力化
水田
防除
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