タイトル |
繋ぎ牛舎からフリーストール牛舎への移行時の注意事項 |
担当機関 |
岩手県畜産試験場 |
研究期間 |
1992~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1993 |
要約 |
繋ぎ牛舎からフリーストール牛舎に移行する時の事故・疾病の発生予防には移行前から運動場などで群内の社会的順位を確立させ、足腰を鍛えること。3週間前から飼料にも馴致させることで、移行時のストレスを軽減させる必要がある。
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背景・ねらい |
フリーストール・ミルキングパーラー方式は、繋ぎ飼い方式に比べ群管理による 多頭飼養が容易で、作業の省力化、経営規模の拡大などを図るために期待されている。 しかし、この方式導入時には、「牛が慣れない」、「乳量が減少した」、 「蹄病や乳房炎が増えた」などさまざまな問題が生じている。 そこで、フリーストール牛舎への移行段階で牛の慣れの状況、飼料変更の影響、乳量 乳成分などの変化について調査を行い、注意事項が明らかになったので参考に供する。
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成果の内容・特徴 |
- ミルキングパーラーによる搾乳は初回の作業は牛が興奮し労力を要するが約1週間で
初回の1/4になり、牛も人も慣れるには1ヶ月程度かかると考えれば良い (図1)。
- 移行日に乳量低下があるが、飼料に馴致しなかった群ではその回復が遅れる。移行後
の乳量低下を防ぐには約3週間前から飼料に馴致する (図2)。
- 群内での社会的順位の低い牛は、乳量低下が大きいなど移行の影響を受け易いことか
ら、移行前に群内の順位を観察して移行後は特に下位牛の行動(採食、休息、等)に 留意し、衰弱しているようであれば保護するなど、牛の脱落を防ぐ (図3)。
- 移行時に蹄病、起立困難等の事故多発が懸念される。移行前より牛群を運動場で運動
させ群内順位を確立するとともに、足腰を鍛えた牛群を移行させることで事故疾病の 多発を防止できた。このことから、移行前には必ず運動場で運動させ、どうしても運動 させれないときは削蹄だけでも確実に行い足腰の負担を減らす。
- フリーストール牛舎にして乳成分が悪くなる事例もあるようだが、移行後2カ月程度
低下傾向を示し、その後回復したことから一時低下しても、管理失宜がなければ回復 すると考えれば良い。
- 移行時の影響について、乳量は数日で回復するが、フリーストール牛舎での群管理に
適応するまでには、乳成分、血液性状、家畜行動が安定する期間と考えると2~3カ月は 必要と考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
岩手畜試における1事例からの成果であり、各種条件により異なることが考えられる ので他場所における事例を積み重ねる必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
削蹄
省力化
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