タイトル |
西洋ナシ「ラ・フランス」の予冷・追熟条件が果実品質に及ぼす影響 |
担当機関 |
福島県果樹試験場 |
研究期間 |
1990~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1993 |
要約 |
予冷条件:温度5度C・湿度90%で7~45日、追熟条件:10~15度C・70~80%で収穫後20日以降の任意の日に適熟果が出荷できる。果重目減率は動的弾性率(かたさ)と関連性が高く湿度の影響が強い。また高湿度は果肉褐変の原因となる。
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背景・ねらい |
これまでのセイヨウナシの予冷・追熟条件に関する知見は温度と硬度の関係を基準に したものが多く、湿度及び肉質評価については調査例が限られていた。そこで予冷・ 追熟時の温・湿度により、果実品質、特に肉質と香りとの関連性を明らかにするため、 動的粘弾性測定装置(レオログラフマイクロ)とニオイセンサー(SF105)により測定し、 官能検査(ラテン方格法)結果と比較検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 好適予冷温・湿度:5度C、90%
5度Cで予冷した場合は、果肉軟化が進行し、45日~60日で適熟となる。0度Cの場合は 果肉軟化は認められず、貯蔵効果が高い。湿度は果重目減りとの関連性が高く、0度Cの 場合は65%で直線的に低下する。また長期間低湿度で保存すると追熟後の香りが低下 する。5度C90%の場合は45日経過しても香りの低下は認められない。また7日以上経過 すれば、任意の時期に追熟させることができる。また5度C予冷期間が長いほど追熟期間 は短い。また無予冷では果重目減り率が高く、酸味が強く仕上がるが滑らかさは良好と なる。
- 好適追熟温・湿度:10~15度C、70~80%
追熟時の温度が高い(15度C)と輪紋病発病率は高いが短期間で適熟となる。低温(10度C) では逆になる。低湿度で動的弾性率は低くなり、滑らかさが増すが、70%以下では、 果皮が萎凋しやすく、追熟の斉一性も損なわれる。高湿度(85%以上)では動的弾性率が 高い肉質となる上、20日以上経過すると内部褐変が発生しやすくなる。
- 機器測定値と官能検査との相関:動的弾性率はかたさ、損失正接は多汁性との相関が高い。
熟度判断はかたさと相関が高く、動的弾性率30MPa(2HZ測定)付近が閾値である。これ 以下では香りとニオイセンサー測定値との相関が高い。硬度は損失正接と関連性 がある。
表1実品質の主成分と因子負荷量及び標準バリマックス 回転後の因子負荷量 図1 追熟条件と果重目減りの推移 表2 ラ・フランスの予冷・追熟条件と果実品質
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成果の活用面・留意点 |
- 冷夏年は低温追熟では肉質が劣るので追熟温度は高めとする。
- 収穫が早すぎた果実は予冷期間を長くする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
出荷調整
西洋なし
内部褐変
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