タイトル |
メタンガスの発生動態と抑制技術 |
担当機関 |
宮城県農業センター |
研究期間 |
1990~1994 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1994 |
要約 |
メタンガス発生抑制法として、水稲生育中、後期の潅がい制限(飽水管理)、及び有機物の表層すき込み+潅がい制限を検討した結果、慣行の体系よりメタンガスの発生量を少なくすることが可能であった。
|
背景・ねらい |
温室効果の原因ガスの1つとして、水田から発生するメタンが問題となっている。 メタンガス発生抑制法として、水田の水管理については、 水稲生育中期以降の潅がい制限(飽水管理)、総合改善として、 表面耕起による有機物の表層すき込み+潅がい制限について検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- メタンガスを 1992年~1994年の 3ヵ年測定した結果、
年次による発生量の差が大きかった (表1)。
- 水管理法として、水稲生育中期以降(有効茎数確保後)
水深を田面下マイナス 5cm程度に保つ潅がい制限により、 メタン発生を慣行水管理に比べ平均 20%抑制できた (表1)。
- 表面耕起は、秋、有機物散布後、ロータリー耕にて土壌表面を 3~5cm耕起し、
春、ドライブハローにて表面代掻きを行うことにより、 散布した有機物を土壌表層にすき込む作業体系である。
- 藁表面すき込み+潅がい制限は、藁全層すき込み+慣行水管理体系に比べ、
水稲生育初期のガス発生量は多いものの、中期以降のガス発生を抑制し、 発生量で平均23 %抑制した (表1)。
- 堆肥表層すき込み+潅がい制限は、有機物無施用+慣行水管理体系より、
ガスの発生量が少ない年次もみられ、 3ヵ年の発生量の平均値でも有機物無施用と同程度であった (表1)。
- 各改善処理とも水稲収量は、対照と同等か、やや増収した
(表2)。
- 生藁 Cのメタン Cへの変換率を概算した結果、92,93年は 5~7%であったが、
94年の冷害藁すき込みでは 13%と高い変換率であり、 糖、澱粉含量が高い冷害年の藁は、堆肥化して水田に還元するのが望ましい (表3、 表4)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 潅がい制限、表面耕起とも漏水があまり問題とならない
泥炭、黒泥、強グライ土等の低湿土壌で実施する。
- 潅がい制限の目安は、田面の足跡に水がなくなったら、走り水-落水、
その後足跡の水がなくなるまで放置
- 水稲の幼穂形成期及び減数分裂期付近の低温時には、
潅がい制限を中止し、深水管理を行う。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
肥料
水田
水稲
凍害
水管理
|