エゴマ種子給与による鶏肉へのα−リノレン酸の取り込み

タイトル エゴマ種子給与による鶏肉へのα−リノレン酸の取り込み
担当機関 青森県畜産試験場
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1994
要約 エゴマ種子はαーリノレン酸(n-3系脂肪酸)含有量が高く、これを飼料に混合して給与すると鶏肉にそのまま取り込まれ、飼料へのエゴマの混合割合が高くなるほど鶏肉のn-3系脂肪酸含量は多くなった。
背景・ねらい 食品に対する消費者の要望は年々多様化してきており、
中でも健康に寄与する成分への関心が高まっている。最近、そのような物質として
多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)が注目されており、この中には血圧降下や
抗ガン作用、乳幼児の脳発達、視力の向上、さらには老化に伴う記憶力の低下抑制
などに効果があるものがある。
必須脂肪酸には、n-3系脂肪酸(αーリノレン酸、EPA,DHA)とn-6系脂肪酸
(リノール酸、アラキドン酸)があり、健康のためにはn-3系脂肪酸の多いことが
望ましいとされている。
そこで、αーリノレン酸に富む地域飼料資源であるエゴマを肉用鶏へ給与する
ことにより健康有効成分の鶏肉への取り込みを図った。
成果の内容・特徴
  1. エゴマ種子の脂肪酸は、64.0%がαーリノレン酸、14.2%がリノール酸、
    21.8%がその他の脂肪酸であり、αーリノレン酸含有量の高い飼料資源である
    (図1)。
    一方、配合飼料中の脂肪酸は、3.5%がn-3系脂肪酸(αーリノレン酸2.0%、EPA 0.7% ,
    DHA 0.8%),42.4%がn-6系脂肪酸(全てがリノール酸)、54.1%がその他の脂肪酸
    (オレイン酸、パルミチン酸など)であり、配合飼料はn-3系脂肪酸よりもn-6系脂肪酸
    がきわめて多い
    (図2)。
  2. エゴマを8~16週齢の間、配合飼料に混合給与(I区0%,II区5%,III区10%,IV区15%)
    したところ、鶏肉(深胸筋、浅胸筋、大腿二頭筋)中のn-3系脂肪酸含量は、
    エゴマの混合割合が高くなるほど多くなった。また、全脂肪酸中のn-3系脂肪酸割合は、
    エゴマの飼料への混合割合15%の場合は給与後6週目(14週齢)まで増加し、
    以降給与終了時(16週齢)までは横ばいとなった。5%,10%混合の場合、
    給与期間内(8週齢~16週齢)において漸増傾向がみられた
    (図3)。
  3. n-6系脂肪酸の移行もエゴマ混合区において高い傾向がみられたが、
    n-3系ほどの顕著なものではなかった。
  4. n-3/n-6比はエゴマ混合割合の高いほど高まったが、
    その比率は給与後2~4週間後まで増加した後、
    以降おおむね横ばいとなった
    (図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 鶏肉のn-3系脂肪酸含量が高まり、鶏肉に対加価値をつけることができる。
  2. エゴマは、栽培の容易な作物であり、遊休地の活用を図ることができる。
  3. エゴマは脂質に富み代謝エネルギーが高いので、脂肪の付きやすい
    鶏種ではエネルギーの給与量に留意する必要がある。
図表1 230658-1.gif
図表2 230658-2.gif
図表3 230658-3.gif
図表4 230658-4.gif
カテゴリ えごま

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