養蚕農家におけるカツオブシムシ類による繭の食害の発生実態

タイトル 養蚕農家におけるカツオブシムシ類による繭の食害の発生実態
担当機関 宮城県蚕業試験場
研究期間 1994~1997
研究担当者
発行年度 1994
要約 カツオブシムシ類による被害は製糸工場での乾繭保管中だけでなく、生繭を生産している養蚕農家段階でもその棲息が、又繭検定供用繭にもその被害が確認され、繭質の低下を招いている。
背景・ねらい 最近、製糸工場内で乾繭保管中にカツオブシムシ類に繭が食害される被害が多発
している。このカツオブシムシ類に食害されると、繭に穴があいたり、表層に傷が
付いてしまい、製糸原料としての商品価値を損ねる。また、生繭の生産現場である
養蚕農家では、営繭から出荷までの間に、繭がカツオブシムシ類に食害され、繭
検定成績を下げる原因の一つになっている。そこで、県内養蚕農家における
カツオブシムシ類の棲息状況と生産繭の被害状況の調査を行った。
成果の内容・特徴
  1. ヒメマルカツオブシムシによる蚕期別被害状況をみると、蚕期が進むにつれて被害が
    大きくなった。これは、春から秋にかけてヒメマルカツオブシムシが成長するに従って
    食害力が高まったためと思われた。(図1)
  2. ヒメマルカツオブシムシによる年次別被害状況から、ヒメマルカツオブシムシの棲息
    密度が年々高まってきていることが確認できた。
    (図2)
  3. 年2回の調査で2年間に、県内全域から無作為に延べ35件の農家を対象に調査を行った
    結果、ヒメマルカツオブシムシが約7割の農家に、ヒメカツオブシムシが約3割の農家に
    棲息していることが確認できた。(表1)。
  4. カツオブシムシ類は、飼育後の蚕室内の清掃や蚕具類の生理整頓が徹底されていない
    農家に多く棲息していた。
  5. カツオブシムシ類に乾繭を食害させる飼育試験の結果、ヒメマルカツオブシムシは
    貫通あるいは途中まで穴を空けるが、ヒメカツオブシムシは表層をかじるだけで、
    肉眼では、その食害痕は見えなかった。(図3)
  6. ヒメマルカツオブシムシは、繭だけでなく乾燥蚕蛹も盛んに食害した。
    (図4)
成果の活用面・留意点 カツオブシムシ類の防除法として、蚕室・蚕具の清掃などの耕種的防除を徹底する。
また、今後、蚕の飼育との関係を考慮した的確な薬剤防除法を確立する必要がある。
図表1 230732-1.gif
図表2 230732-2.gif
図表3 230732-3.gif
図表4 230732-4.gif
図表5 230732-5.gif
カテゴリ 病害虫 カイコ 乾燥 出荷調整 防除 薬剤

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