タイトル |
性フェロモントラップを利用したモモハモグリガの発生時期の予察法 |
担当機関 |
福島県果樹試験場 |
研究期間 |
1989~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
モモハモグリガの性フェロモントラップでの誘殺消長と日別の最高・最低気温を用いて、発生時期および防除適期を予察する方法を開発した。福島県メッシュ気温推定システムを利用することにより、県内主産地の現地ほ場でも適合性が高かった。
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背景・ねらい |
モモハモグリガは寄生密度が高まると落葉と果実品質の低下をもたらす重要害虫であるが、潜葉性のため若齢幼虫期を除くと殺虫剤による防除効果は低い。このため適期防除が求められる。そこで、本種の性フェロモントラップによる誘殺消長とほ場での卵および幼虫密度の推移との関連性を検討することによって、調査の簡便なトラップの誘殺消長から成虫の発生時期および防除適期を予測する手法を開発し、本種の効率的な防除技術を確立する。また、これを汎用化し、県内各地のモモ産地に適用できるようにする。
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成果の内容・特徴 |
- 性フェロモントラップにおける誘殺盛期を基準として、有効積算温度から卵、幼虫の発生時期を予測することができ(図1)、使用する殺虫剤の種類に応じた防除適期を正確に指示できる。
- 有効積算温度は、第1世代以降、前の世代の誘殺盛期の翌日を起算日として、日別の最高・最低気温を用い、三角法で求める。この場合、発育低温限界、発育適温下限、発育適温上限、発育高温限界および有効積算温度をそれぞれ、8.0、26.5、29.0、33.0℃および340日度とする。これにより求めた50%誘殺日は実測値とよく一致した(表1)。
- 福島県メッシュ気象推定システムを利用して、県内各地のモモ産地の気温を求め、本手法の適合性を検討したところ、概ねよく一致した(表2)。この場合、有効積算温度の計算に用いる各メッシュ地点の日別の最高・最低気温の推定にあたっては、果樹試験場とアメダスの観測法の違いによる補正が必要であった。
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成果の活用面・留意点 |
- 立地条件の異なるモモ産地におけるモモハモグリガの発生時期を正確に予測でき、効率的な防除が実施できる。
- 性フェロモントラップは地域を代表する地点に設置し、その誘殺消長から成虫発生時期を補正する必要がある。
- 有機リン剤および合成ピレスロイド剤の防除適期は、それぞれふ化盛期および羽化盛期とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
性フェロモン
防除
もも
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